よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

生きているということ

 少し固めのアクセルをタンと踏み込み、閉じ込められていたトンネルをツーと抜けでると、そこにはもう日本海が広がっています。


 さほど広くはない地域に、住宅が密集し、息づいて並んでいて、よくみるとその先には紺碧の海のはしが海岸のところで白い波をいくつもつくっているのがみてとれます。


 高速道路と海の間には、それでも500メートルほどの距離があり、波の音が実際には聞こえてくるはずもないのだけれども、私の耳には確かにざーぁ、ざーぁ、というかすかな音が通りすぎた気がしました。


 いままでうす曇りだった空からは、いく筋もの光が洩れてきていて、あたりを広く照らしています。暗いイメージのあるここの海が妙に紺色に見えたのも、その光のせいであったかもしれません。


 私はずいぶん長い間風景をみていたつもりでしたが、景色はあっというまに視界から消えていきました。私の運転する車の針は時速120kmを指していて、もうそろそろ料金所であることを思い出しました。その先には今日から数日間滞在する町と病院がまっているのです。


 今日は朝早く東京を立ち、首から下げたウォークマンANW-A919からながれるサラ・ブライトマンを両耳に響かせながら寝不足の頭を揺り動かし、降り立った広島空港からレンタカーをここまでころがしてきたのでした。


 よく考えてみると私たちホワイトボックス社のメンバーは、雪が降ろうと、夏の日差しが肌をじりじり焼いていようと、病院のあるところにいつもこうして現れます。


 病院に辿りつくまでにたくさんの山を通りすぎ、町を横切り、川を渡り自然に触れることができます。


 街のなかで留まり、電車やタクシーを乗り継ぎミーティングの場所につくことも働いている実感がありますが、こうして家をでてから6時間近く移動して、やっとクライアントに着く日常も、生きていることを感じられていいな、とほんの少し思ったのでした…。