よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

応接の窓からイタリアがみえる

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 建築家の阿部先生です。先日、イタリアから帰国しました。26日間滞在し、ローマ近郊を廻りながらいくつものスケッチを描いて帰国です。阿部先生は、ココチケアの都内にあるメディカルホーム建設の設計をしていただくことになっています。

 ローマやベネチアを訪問し、自院や自然、とりわけ、あまり誰も日本人のいない村に行き、独りで一筆書きのスケッチをしてくるといった感じで、それはすてきなスケッチをたくさん持っての凱旋です。

 本当の意味での一筆書きは、ペンを紙から一度も離さず線図形を描く」ことでだそうですが。いわゆる同じ線を二度なぞらないということも条件だそうです。実際は、後者だけを軽めに一筆書きといっているのだと思います。

 たくさんのスケッチを先生に見せていただいたなかのの一枚に目が止まりました。

 大きな台形の岩山の上に集落があり、大きく丘から突き出しています。切り立った岩山の凛とした強さと裾野にある緑の木々のやさしさのコントラストがとてもすてきなスケッチでした。地名はお聞きしましたが、忘れました。
 
 なんと民家の庭を横切り、庭の一部のところから描いたものだと話を聞きました。民家の人にスケッチブックをペンをみせると、「いいよ」とうなずいてくれたそうです。

 イタリアだなーと思います。牧歌的で明るく、そして大きくおおらかである。そんな風景が頭のなかに膨らんできました。

 油絵でもなく日本画でもなく、たった一本のペンだけで描き、彩色しているこの絵は、そこにある風景を、農家の納屋の窓からのぞいているような臨場感があります。頬に触れるそよ風までもが感じることができました。

 売っていただけるということであったので、さっそくその日に行った講演会で主催者からいただいたチャージをそのままスケッチに代えました。

 私の講演会は3時間でしたが、その絵もほぼ2時間程度で仕上げたものだそうです。イタリアまで行って描いてもらったということであればまったくおしくもありません。

 そばにおいてじっくりみると、その集落の木々や家々の特徴や息遣いが見えてくるようで、あきることがありませんでした。

 銀座のいなだという割烹でおいしい白マイタケを、トリフオイル(阿部先生がイタリアから購入し、いなだのお友達にあげたものを頂戴しました)につけて、そしてお醤油につけて、さらにカボスにつけていただきました。トリフのオイルの香りが独特で、和食でありながらヨーロッパの趣であり超美味でした。

 そのあと、購入したスケッチは額に入れられ、阿部先生から送られてきました。

 ローマ郊外の風景は、ホワイトボックス社東京事務所の応接室の窓の下に置かれることになりました。

 応接室の大きなソファーに身体を投げ出すと、窓からテラスの植栽がよく見えます。
 テラスにある10メートルにわたる植栽の緑と、額に入ったスケッチの風景が同体化して、まるでローマの郊外の納屋に自分がいるような錯覚を覚えます。
 目を閉じると、やはり窓からの風景が、空気のにほいや、風の音と一緒に感じられました。


 いつかその場所に行き、いま感じた感触に触れてみたいと心から思いました。