よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

銀行も医療の勉強会

 動態的に病院をみる指標を数多く提示していますが、それらのなかには病院も入手していないもの、掌握していないものも数多く含まれています。
 ①単純であるもの

 ②病院もデータをもっているもの

 ③病院側がそのデータを提示することに躊躇しなくて済むもの

 ④比較することで病院の実態がつぶさに把握できるもの

 ⑤情報収集によって病院経営の全体が把握されることはないだろうと思ってもらえるもの
といった条件で整理する必要があります。

とりわけ、一般病床の病院業績が徐々に悪化していく要因は、以下に示す10項目となりました。
 ①新患が低減する傾向にある

 ②外来患者数が低減する傾向にある

 ③外来単価(外来日当点)が低減する傾向にある

 ④病床利用率が低減する(入院患者が低減する)傾向にある

 ⑤手術件数が低減する傾向にある

 ⑥入院単価(入院日当点)が低減する傾向にある

 ⑦平均在院日数が増加する傾向にある、あるいは増減が激しい

 ⑧紹介率が低く増加していない。低減傾向にある

 ⑨医師が不足している

 ⑩看護師の定着率が低い
 なお、⑨や⑩は一気に業績が悪化する要因になることが知られています。

 上記は、先週行った銀行での勉強会資料のほんの一部です。銀行も、決算書をみて融資審査をするのではなく、ここであげている事実がどのように変化しているのか、傾向はどのようになっているのかについてよく認識したうえで、融資をしなければなりません。

 これを静態的審査と区分して動態的審査といいます。
医療制度改革が益々厳しく実行されるなか、銀行の支援が必要となりますが、病院の自浄的努力や改革への意欲がどのように発現しているのかを知る材料として、上記を考えておく必要があります。

 銀行の方、審査の考え方を根本から変えていきましょう。