よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

傷を大きくしないということ

 いま、多くの企業が事業資金調達ができずに苦しんでいます。事業資金を拠出しても、あるいは融資をしてもそれが回収されるか、あるいは返済されるかという部分において、確度が低い法人の調達力がゆらいでいます。

 考えてみれば当たり前のことで、投資をする側も、融資をする金融機関も、現在の日本経済、そしてこれからの景気動向を斟酌すれば、いくら夢を語ったとしても、あるいは実績があがっていたとしても、資金を出すということについて二の足を踏まざるをえない環境があります。

 そもそも株式市場が崩壊し、また円高であり、さらに内需拡大のこれといった政策がないなかで、日本の先行きを考えるということが困難であるということなのでしょう。経営者はいまこそ、過去の自らの経営姿勢を反芻し、カンサバティブな経営を行ってきたのかを自らに問いなおす必要があります。

 こういう事態を予想して対処してきた経営者はたくさんいます。こういう事態になろうとも、成果があがるように現場に出て采配をふるい続けてきたトップも成功を享受しています。大まかなマネジメントではなく、現場一つ一つの行為に目を光らせる勇気と、力量が経営トップには求められているといってもよいでしょう。

 一方、この時期をなにがなんでも乗り越える、ということも必要ではありますが、場合によっては傷が深くならないうちに撤退の決断を行うことも経営者の勇気です。多くの第三者に多大なロスを負わせるようなことが、それもいまの日本の置かれている環境下において適当であるのかどうかについて判断しなけれればならないときが来たということです。

 これはあらゆる事業体に連関することであり、誰かが、この例外になるということはありません。

 最近は、あらゆる業種の経営危機に際し、資金調達の依頼が多くなってきていますが、時間を割いて活動を行い、多くのベンチャーキャピタルや金融機関に打診しても、結局はネガティブな解答しか得ることができません。また、篤志家を募ろうとしても、彼らも財布のひもを締めざるを得ない状況にあるということが理解できてきました。

 自己のアビリティ(能力)を超えた金額の外部からの調達は、よほどのことがないかぎり、困難であるという状況になっています。法的な手段をも視野に入れた再生への道を選択することも、経営としての重要な判断であることを再度認識しなければなりません。