最近、全国の病院を廻っていると気が付くことがある。外来患者の減少と、併せて入院患者が減っていることだ。つい最近まで業績がよかった病院ですら、昨対比マイナスとなるところが多くある。病院を新しくしようがしまいが、その傾向は顕著だ。先日おじゃました大学病院でも、ある教授が管理者会議の資料を見せてくれたが、新患が各科すべてに▲マークがついてた。
院長からは、逆紹介新患増を行うようにと指示があったと説明された。この状況は大学病院であろうと中堅病院であろうと変わらず、いわんや中小病院においてはその傾向は変わることのないものののように思える。
昨年は2%程度の増収があった診療報酬であるが、来年はマイナス改定になることは明らかで、薬剤と医療のなかで医療についてはトントンといったとしても、結局なかでは傾斜配分され、大学病院や特定機能病院の基礎係数で大きく点数をとられていまうといわれている。
DPC病院は大半の三次救急を行っていない一般急性期病院であれば、在院日数が9日になり、その意味から稼働率を維持するためにはどうしても増患かダウンサイジングをしなければならないという結論になる。私たちホワイトボックスは、多くの病院での増患対策で成果をあげているものの、人口が減り、各病院が増患にしのぎを削る今においては、なかなか無限に増患し続けることが困難であるという思いがある。
ベッドを削減し、看護体制を強化、少ない人員で病院を回す。残りのスタッフはサ高住を活用した医療を行うため在宅への展開を図り、急性期や慢性期、そして介護期医療のシームレスな活動を行うことがやはり必要なのではないかと思う病院群がある。
200床未満でケアミックス。そして外科系専門病院ではない病院においては、そうした対応をしていく必要があると考える。
そもそも現在の医療体制をいつまで堅持できるかわからないといった状況であれば、なおさらのことこのまま地域一般病床としていわゆる急性期を行いながら、患者構造を医療療養病床に近いものにしつつ病院を継続するという選択肢は、議論の対象としなければならないと思うのである。
病院を軸としながらも裾野を広くすれば、雇用も維持できるし、また広く地域住民を救うことができる。従来よりもアクティビティの高い医療を行える可能性もある。当然訪問看護や介護との連携、あるいは取り込みを行うことで、より高い質を担保することができる。
医療は病院で行うもの、という観念は震災のボランティアによる大活躍で払拭されたはず。施設や設備が必要な急性期における重篤な患者さんは急性期の病院で診るが、それ以降のケアについては必ずしも病院でなければ医療ができないということではないことをすぐれた医師や看護師、コメディカル達は証明したのである。
酸素配管付のサ高住もつくられている現状では、施設基準のない病院がサ高住として運営されていることを認めざるを得ない。事実、私が関与させていただいているココチケアでは平成19年に医療型高専賃を全国に先駆けて設置し、大きな成果をあげてきた。
一階に訪問看護ステーションや訪問診療所、ヘルパーステーションやデイケアを設置し、24時間管理人を置く中で、二階以上の住宅において、たくさんの看取りを行う医療を展開してきた経験からすれば、優れた看護師や医師の献身的な努力により、医療区分2、3の患者さんの大半はサ高住でもケアが可能であるということが証明された。
地域包括ケアサービスは、いまさらながらに定義づけら、システムとして展開されようとしているが、
現場では随分以前から実際に行われてきた概念であり、制度自体の見直しはあるものの、概念的には当然の対応であることは明白である。多くの医師や看護師に依存することにはなるが、慢性期や介護期の医療となると、病院と住宅で異なるものはそれほど多くはないと考えるのである。
病院が診療所とスキャニングセンターに姿を変え、上を住宅にして医療を継続しつつ、訪問看護や介護を行うことで再生した病院もでてきていると聞くが、新しい形を模索することで、制度改定を能動的に活用し、時代背景を味方に前向きに進んでいくことがいま求められているのだと、我々は考えている。
写真は、広島ドリミネーションの光とホテルの入り口です。暗闇のなかで、地域住民を照らす光はひとつひとつのLED。一つ一つは小さくで、大きく辺りを照らす力はないが、いくつもの光がつながると、それはそれは美しい形ができあがる。
その灯りは自由自在であり、色や、かたち、場所といったものをそこにあったかたちにつくりあげながら地域を照らすことができます。医療や看護、そして介護はそんな関係をもっているのではないか。施設と施設、医療人と医療人がつながることで、大きな影響を与えることができる。思いを一つにして、地域をもう守るのか真剣に議論すれば、それぞれのポテンシャルを活かしながら必ず結果を出すことができると確信している。
方向を決め、研鑽し精進し、前に進むことで皆、必ず輝くことができる。そう信じて来年を迎える準備をしたいと思う。