よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

否定の裏側

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先日クライアントから「複数の幹部がトップの決めた事に何でも拒否をするので困る。なんとかならないですか」と相談を受けました。 

拒否をする人について考えてみます。

どのような組織決定事項でも否定する人がいます。「いやそれは」、「そうではなくて」、「でも」といった言葉をよく使う人達です。

「否定するかしないか」には3つの類型があります。「常に」「ときどき」「しない」がキーワードです。また、常に否定する、ときどき否定する、否定しないの3つの類型のそれぞれには「考えず」、「考えて」の区分があります。

最終的に、拒否に関わる人達の行動は、

  1. 考えず常に否定する、
  2. 考えて常に否定する、
  3. 考えずときどき否定する、
  4. 考えてときどき否定する、
  5. 考えず否定しない、
  6. 考えて否定しない、

に分類できます。

それぞれの行動の背景には、次の気持ちや思いがあります。

  1. 考えず常に否定する=すべて嫌!
  2. 考えて常に否定する=合わない
  3. 考えずときどき否定する=気分
  4. 考えてときどき否定する=できないものはできない
  5. 考えず否定しない=仕事だから
  6. 考えて否定しないA=喜んで
  7. 考えて否定しないB=意見具申

上記の行動について、マネジメントサイドの判断は、1は×。協働できないし組織にいる意味はありません。2も同様に×。同じく、いやそれ以上に別の組織で自分に合う仕事をした方が良い人です。3も×。気分で判断する、考えずに何かを否定する精神性では一緒に仕事はできません。

1から3はネガティブゾーンで、表立っては主張しないけれど面従腹背する人達も含まれます。

どの様な価値観なのか、なぜネガティブなのか、その原因を掌握すべきです。

4は△。まだ救いがあります。「どうすればできるか」を提示すれば変わってもらえる可能性があるからです。5は〇。しかし、「仕事だから」という思いだけでは気持ちの入った良い仕事はできません。内容を理解し、自分のこととして受容してもらえるように、やはり「どうすればできるか」を組織全体で考える必要があります。

日頃からトップマネジメントはビジョンや組織目標に照らし合せて何が正しいのか議論を尽くし意思決定するとともに、マネジメントシステムや前向きな文化・風土をつくるための取組みを行う必要があります。

6は◎。前提として「受け入れる」が、一端考え組織目的や当該行為の意味や自分にとっての意義を理解して「喜んで」の結論に辿りついています。「できるように」どう進めていくのか」について議論できる人達です。

そして7は★(スター)。キラキラしています!組織の決定は全面的に受け入れ、ただ、自分にも意見がある、こに課題がある、と率先して意見具申や問題解決ができる能力を持ち合わせています。

「やってやりましょう!ただ、ここは問題ですね。課題はこうして解決しましょう」と目力のある表情でキッパリ言ってもらえたら嬉しいですよね。

6、7はポジティブゾーンにいる人達です。

そもそも組織の経験を積んだリーダーが決めたことは絶対です。指示を受ける側にそれを拒否する権限はありません。ガバナンスの仕組みを破壊する人が多くいれば、組織は先に進めないどころか機能を果たせません。

当該組織のビジョンや考えに共鳴できない人は、別の思いをもてる組織で活きることのほうが有益です。

しかし、そうはいっても意思決定を丸のみするのではなく、組織構成員が「ここはどうなのか」という意見を持ち、またその意見を聴いて正しい方向に皆を誘導できるトップがいるのが、健全な組織であることは間違いありません。

リーダーも組織構成員も全知全能の神ではありません。自分の意見が絶対ではないのです。しかし、リーダーにはリーダーとしての責任や義務があり組織目標達成のために意思決定を行わなければなりません。

組織規模にもよりますが、トップが情報を集め熟考して決定したことを進めるにあたり、問題も課題もあることは常態です。なので、どう進めていくのかについてしっかりと議論し、ビジョンやミッション、ゴール達成に向けたトップの思いを実現するために、どうすればよいのかを考えることが組織構成員の役割であり使命だと理解しなければなりません。

指示を受けた者は自分なりに考え、意見具申し議論したうえで、組織における各ポジションにおける機能を果たす必要があります。7に属する人達がどれだけいるのかにより組織の盛衰が決まります。

リーダーがリーダーシップを発揮し、あるべき組織づくりをしっかり行わなければならない理由です。

リーダーは周りを見渡し、決定事項に対し拒否をする人達の背景を理解し、それぞれの類型へのマネジメントを的確に行っていく必要がありそうです。

チームでの仕事の大切さ

 

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先日、弊社の業務の一つとしてのデューデリジェンス(DD=[対象法人の]事業・財務調査)を行いました。

 

マーケティングは医療コンサルタントのAさん、データ分析は税理士資格をもつOさん、会計監査は会計士のNさん、そしてマネジメント評価や総括、課題整理、解決策提示は私の担当でした。

 

規模の大小や業種により、重点のポイントは異なりますが、過去に何十とDDを行ってきました。調査の対象が事業、財務のみならず法務に及ぶこともありますが、メンバーの入替えを行いつつ、その時点で最適な担当者を決めて調査を行いレポートを提出します。

 

DDはすべての仕事の縮図です。

 

人は一人で何もかもできるわけではありません。全ての業務に精通するのは難しいことです。やってできないことがなかったとしても、すべての仕事を一人で行うことは不効率です。

 

普段の他の業務においても自然に「これは誰に聴けば良い」「誰の知識や知見が優れている」と、個々のスタッフが理解したうえで、それぞれ必要に応じて彼らと相互にコミュニケーションをとりながら仕事をしてきました。

 

自分のやりたいこと(好きな事、得意な事)を仕事にしながら専門性を深め、他の誰が、何を得意としているのかを理解しながら連携し、チームで成果を挙げてきたのです。

 

もちろん専門性は決して十分ではなく、一生かけて極めていくものとしても、比較的優位の専門性をもつ者が、その段階での当該領域での能力を発揮しながら仕事を進めることが効果的なのです。

 

ダニエル・ヴェグナーにより確立された、トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)(組織内の知の分布)の主張には興味深いものがあります。

 

ここでは情報の共有化が議論されています。「組織メンバーが他のメンバーの誰が、何を知っているのか(who knows what)」を明らかにして仕事をすることで、成果が挙がるという主張です。

 

TMSを規定するのは専門性と正確性の2つで、組織だからこそ人は分業し、それぞれ専門性を高めることができるし、その専門性を引き出せる正確性が必要といっています。who knows whatが正確でなければ、効率は向上しません。

 

何れにしても(個人も含め)組織がTMSをどれだけ豊かに持てているのか、豊かであれば組織内メンバーは、自分の専門分野(≒やりたい仕事)だけを覚えるだけで記憶の分業ができるし、分からないことがあればTMSを通じて他者から引き出せればよい、その事で成果(パフォーマンス)が挙がる、という結論です。

 

他の研究によりTMSを高める条件として、直接対話によるコミュニケーションの頻度が高いことが明らかになっています。メール・電話によるコミュニケーション頻度が高いチームはTMSが最も低い、という結果は分かり易いですね(世界標準の経営理論:
入山章栄)。

 

加えてカイル・ルイス教授は誰が何を知っているだけでなく、メンバー間で情報(暗黙知)のやり取りが効率よく起こり、チームが一つの記憶回路のようにあらゆる情報を蓄積していないとチームは機能しないとして、TMSを説明します。面白いですね。

 

普段、当たり前に行っている組織内の連携やチーム連携(場合によれば外部の連携にまで)につながるTMSの議論です。

 

なお、私は、拙著「サクセスキューブ(幻冬舎)で、①一人ひとりが思いを持ち②信念に昇華し③技術技能(専門性)を磨き④人間力を身に着けて⑤コミュニケーションをとることで成果を挙げ⑥達成感を得るのが成功の要件である、と説明しています。

 

そうして自立した個人が他者との連携を行い、より一層高い成果を挙げることが組織活動の要諦です。

 

TMSは、ここでいう連携において「誰と何をするのか」を決めるとき重要な役割を果たす、と理解できました。

 

これからも絶え間なく専門性を磨き、自立できる自分をつくることで選ばれて他者と適切な連携(チーム)による的確な仕事ができれば良いと考えています。

荒野に生きる黒ヒョウを見た

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ホテル業を営むクライアントがあります。

 

別府温泉の駅前や駅近に4つのホテルと海側に2つの旅館を運営(他にも近くにいくつかのビルやアパートも保有)しています。駅のホームに立つと目の前にクライアントのホテルが3つ見えますよ。

 

最近、縁があり熊本に施設を購入しました。それほど便利な場所にはなく、また老朽化し競争力のない施設をホテルとして再生し、今年の冬までにはオープンできるよう準備を始めました。

 

この施設には、温泉設備はありましたが壊れていて温泉は出ない、部屋が汚い、狭い、お風呂が貧弱、庭が整備されていない、風光明媚な国立公園内にるものの、それが故に施設の拡張はできない、売りがないという課題がありました。厳しい状況ですよね。

 

しかし車で10分程度の場所に、いくつかのホテルが点在し営業しているので、シーズンにもよりますが人が来ない場所ではないことは明らかです。社長はマーケティングをしたうえで、なんとかやれると判断したのでした。

 

施設を調査し、またいままでホテルや旅館を運営してきたノウハウを駆使し、いくつかの対策を行うことにしました。

 

新たにボーリングを行い温泉の湯量を確保する、施設の門構えや見栄えを良くする改造を行う、既存の部屋は簡単な改装を行う、他には類を見ない既に別府の旅館で経験済みの屋上に国立公園の絶景を見ながら浸かる屋根付きの大型露天岩風呂をつくることも決めました。

 

しかし、部屋が狭いので、登山客やスキー客はともかく、カップルやファミリーを堂々と呼べません。施設の拡張許可がでないことがネックでした。

 

そこで目を付けたのが200畳以上ある宴会に使う大広間です。今や宴会でも無いでしょうと、既存のいくつかの1部屋を2部屋にするとともに、大広間をつぶし、新たに広めの部屋を20室以上つくることにしたのです。近隣のホテルには少ないカップル、ファミリー迎い入れ戦略です。

 

また、3,000坪の庭に植栽しようと考え見積をとったところ、ある程度の木であると、ご承知の通り1本30万円から50万円もするのが判りました。それではいくら資金があっても庭園はできません。

 

考え抜いて気づいたのは安くて将来大きくなる山茶花(さざんか)。周りは自然に溢れており、目の前は大木はいりません。始めは細くて2,3万円で買えるツバキ科の山茶花の木を大量に植える。まさに山茶花の宿です。こうした工夫をするのが社長の真骨頂。

 

庭には、コストを抑え将来大きく育ちつつ綺麗な白や赤、ピンクの花を咲かせる山茶花の木を数多く植え、庭に回廊をつくることで落ち着きました。

 

さらに自立できたのちは、集客のため地域興しの(星の里○○のような)キャッチをつくり近隣ホテルと連携のうえ集客するといった計画が立てられました。

 

これら一つひとつは書いてしまえば何ということのないことですが、ここに至るまで地域の環境、立地、競合、施設の構造やコスト、強みづくりを念頭に考えられた奥深い戦略です。

 

工事のための優秀な職人さんの手配が難しいけれど、決めたことをやれば必ず地域でトップになれる、勝てる、と穏やかに社長は話しました。

 

彼は以前から現場の状況をつぶさに観ることや、現場に入り作業をしながら業務フローを改善、部屋の改装や大浴場づくり、さらに料理長を東京に呼んでの彼がお気に入りの料理の食べ歩き、肉や鮮魚など食材の仕入れ、レシピの考案、お皿の買い付けや、一時期は中国からの資材や絵画、家具、ジャグジーの買い付けも率先して行っていました。

 

東京近郊で行う成功している不動産事業をメーンとしながらも、別府に月に一週間程度通い事業を始め改革を進めてきたのです。

 

社員の教育や人材育成、動機の喚起、業者さんとの関係づくりや、ここで挙げた事業での成功のプロセスから彼のマネジメントの基本が見えてきます。

  1. 思いをもつ(成功の要諦1)
  2. 環境をみて未来を創る(俯瞰・大胆)
  3. 自ら現場に入る(凝視・繊細)
  4. 負けない強いものをつくる(成功の要諦2)
  5. 計画するが拘泥しない(柔軟)
  6. 勝つために動く=勝負する(成功の要諦3)

がそれらです。

 

一代でいくつもの事業を成功させ、数百人の従業員を抱え、成果を挙げてきたトップから毎週のように教えを受け、また15年以上彼の行動をつぶさに見てきましたが、紆余曲折はありつつも難局を乗り越える、若しくは事前に察知してリスクを回避する力の凄さはとても勉強になります。

 

社長との毎週のミーティングの臨場感は読者には伝わりませんが、ここで説明した成果は理論を学んできたからではなく、彼が持って生まれた特性や誠意や思いやりに代表される人間力、よく気付き何でも興味をもち学習する、失敗しても良いからやってみるという姿勢、そしてそこから生まれた経験則からの行動の結果です。

 

いつも笑顔で気負わず淡々と、しかしここぞというときには黒ヒョウのように鋭い目をして俊敏に動き、獲物を捕まえるように結果を出す姿は、どんな理論よりも説得力があります。

 

どのような業種でも事業成功のためには、優れたリーダーやリーダーシップがいかに重要なのか、彼を見ていつも考えています。

 

 

仕事する人の3つのタイプ

 

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    何かを行うためには、

  • 行なうべき到達点(Attainment)を明確にする
  • そのことに対する現状(State)を分析する
  • 到達点と現状のギャップを確認(Confirmation)する
  • そのギャップを埋めるためには何をすればよいのか解決策(Solution)を考える
  • 解決策の実行を計画に乗せる
  • PDCAサイクルを回す

といった(我々の開発したフレームワーク)ASCS(アスクス)とPDCAへの手順が必要です。計画立案は5W2Hで行うことが必須ですが、とりわけWhyが重要です。

 

PDCAサイクルを回すときのPの実行の役割を担う、担当者一人ひとりが、自分がなぜそれをしなければならないのかについて腑に落ちていないと、マネジメントサイドが思うような成果を得られないからです。

 

何かの行動をするとき、人は知る、理解する、受容するの段階のどこかで行動します。3つのタイプがあるんですね。取分け組織において活動の一部を担う者が、この3つのどのタイプで自分が行動するのかに留意しなければなりません。

 

〇〇を行うことを知るだけで何かをする人、〇〇を行うことの目的を理解してから何かを行うこと、〇〇を行うことの意味を自分の仕事として受容れて何かをする人の成果は明確に異なります。

 

有名なのはレンガ職人の話ですよね。

 

旅人が道でレンガを積んでいる人に、「ここでいったい何をしているのですか?」と問いかけたときに、「レンガ積みに決まっているだろ、こんなことをさせられてついていないよ」と嘆く職人、「大きな壁を作っているんだよ。これで喰えているんだ」と満足そうに言う職人、そして「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだよ。たくさんの人がここで幸せになれるんだ、素晴らしいだろう」と自分の使命を語る職人がいた、という話です。

 

明らかに、知る、理解する、受容するの違いが出ているエピソードですよね。実際、この話は極端な話だと思いますが、私自身振り返ると、一番目の職人と同じような気持ちで仕事をしていたときがあり、実感をもって納得できることもあります。

 

何かをするとき、なぜこれをするのか、自分にとりどのような意味があるのか、この行動を通じてどのような成果を得るのかを納得し、仕事=自分の喜びである、という状況を創り出すことがマネジメントの役割であることが分ります。

 

随分昔に地方スーパーの社長に、「新任の店長が50位の店を8位にした。それは、店の地域における使命を伝えたこと。個々のパートの方々を教育し役割を付与して、彼女達が行動し易い環境を整備し一人ひとりを支援したことの結果だ」、と話を聞いたことを思い出します。

 

成果を挙げるための行動において、それはなぜ行うのか(どのような意味があるのか)、どのように行うのか、何を行うのか(自分にはどのような役割があるのか)、を明確にすることが必要なんですね。

 

こうしてみると、サイモン・シネックの「Whyから始めよ」(ゴールデンサークル)すなわち、Why(なぜそれをするのか)、How(どうやってそれをするのか)、What(何をするのか)という考えかたが当てはまります。

 

組織目標を達成するために、自分にはどのような役割があり、どのような貢献ができるのかを受容れることができるので、良い仕事をしようという意欲が湧き、その仕事が自分の喜びになることが分ります。

 

喜びがあれば、仕事に積極的に関与でき、成果を挙げられるという帰結です。

 

今朝のブレックファーストミーティングであれこれ議論したなか、今進めているプロジェクトでの自分の役割を考えました。

 

そのときふとプロジェクトの使命を思い、知る、理解する、受容する、というフレーズやゴールデンサークルが思い浮かび、何のために仕事をしているのか再確認したので記事にしました。

 

自分を乗越えて、次に進みたいと思います。

やりたいことをやるための3つのルール

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毎日、朝家を出て仕事をしていると、あっという間に時間が経ち、気付くと夜になっていることがよくあります。自宅に帰り夕食をとると、そこからベッドに入るまでのルーチンをこなすだけで、あ、もうこんな時間という感じで一日が終わってしまいます。

 

食事のあと身体にムチ打ち残り仕事をしたり本を読むこともありますが、週末もあれこれ休めず一週間が瞬く間に過ぎてしまうことが日常になっているなか、翌日以降の事を考えると、遅くまでの作業を行うことをどうしても躊躇してしまいます。

 

やりたいことができているのか振り返ると、戦場にはきな臭い匂いが覆っていて戦果がみえません。死屍累々の状況に、膝を折って天を仰ぎたい気持ちです。

 

ここで、自分のやりたいことを確認し、それを行うための手順を考えてみます。

  • 自分のやりたいことにはどのようなものがあるのか、
  • それは自分のなかで整理されているのか、
  • 重要度や優先順位はついているのか、
  • 期日が明確か、

についてリストをつくります。

ただ、実はTODOリストにこれらを列挙していながら、日々の慌ただしさにかまけて管理できていない現実があります。ヤバすぎます。

 

成果が挙がりづらい状況から脱却するために、課題を見つけなければなりません。まずは分析です。

 

  • やりたいことへの思いが不足していないか
  • やりたいことへの切迫感がないのか
  • やりたいことが困難でなかなか手を付けられていないのか
  • 自分の実力を越えたやりたいことではないのか
  • 他の仕事を集中して行い時間を捻出しているのか
  • 体調管理を十分に行っているか

すべてにNOというほどうまくいかないわけではありませんが、結局他の仕事が多すぎることに気付きます。

 

もちろんそれらはやりたいことの一部ではありますが、メーンではありません。結局、生産性も低いかもしれませんが、仕事の選別が必要なのかとも思います。結局、

  • 体力を鍛えること、
  • 休みをとること、
  • 生産性を上げること、
  • やりたいことをやらなければならないことに変えること、
  • やらなければならないことへの執着をより強くすること、

いう課題が見つかりました。

 

このなかで特別重要なことを、ルール化すると、

  1. やりたいことをやらなければならないことに変える
  2. やらなければならないことへの執着をより強くする
  3. 生産性を上げる

となります。

 

すぐに成果は挙がりませんが、やりたいことを行うための3つのルールです。なぜやりたいのか、やらなければならないのかについて掘り下げ、より強い思いをもつことから始め、課題解決のための行動を起こそう、と小さな決意をしました。

花を咲かせるリーダーの仕事

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 花は自らが咲く力をもって咲いています。誰からも無理やり咲かされるわけではありません。

 

大自然のなかで野山に咲く花は、手を加えないでもその場に合うかたちで見事に花を咲かせます。ただ、我々が自宅や人の集まる場所で見る花や、誰かに贈る花はほぼ人工栽培の花ですね。人工的に栽培されている花は農家でつくられます。農家の方が花を一本一本咲かせているわけではありませんが、温度や水、植え方、養分といった条件により咲き方に影響を受けることは間違いありません。

 

栽培農家が環境をどのようにつくりあげるのか、またフォローをどのように行うのかにより、花の咲き方は異なります。そして綺麗に咲いた花は、花屋を通じて誰かのものになり花束や生け花になります。

 

美しい花たちを見ると心が癒されますね。

 

花を生けるという意味は、大辞泉によれば、「眺めて楽しむために花や枝などを形を整えて花器や瓶に挿す」ことをいうのだそうです。「眺めて楽しむ」。よいフレーズですね。

 

企業でいえば、企業トップが、しみじみ「あ~当社にもこれだけ多くの人材が育ち花が咲いたものだなぁ」と、社員をみて感慨深い気持ちを抱くようなものです。

 

先日ミーティングをしているなかで、赴任してしばらく経つ部長が「ここにに来た当時はとても雰囲気が悪く、会議などでは誰も発言しなかったが、自分が率先して行動することで、社員もだんだん慣れてきて積極的に発言するようになった」と、嬉しそうに話されました。

 

まさに、環境を整えて人心を変えていきたい思う部長の思いが具体的な行動になり、社員のもつ積極性や能動性という才能を開花させ成果を挙げた事例であると思います。

 

前述したように社員は花のようなものです。彼らが咲きほこる環境を整え、それぞれの花がもつ輝きを引き出していくことがリーダーの役割です。環境づくり、評価や指導を怠ってはいけない所以です。

 

社員は個性を持ちながらも一人残らず「自然に育つ」潜在能力をもっています。しかし、それを引き出すのはトップマネジメントであり、それぞれの部署のリーダーです。

 

一人ずつの力を引き出すために一人づつへの対応を行うだけではなく、仕事の仕組みの改善や適切な教育を行うことで、組織として社員に力を発揮してもらえるようにしていくことがマネジメントなんですね。

 

そして一つひとつの花を咲かせるだけではなく、花の色や香り、形など、その場に合った花を束ね、誰もが感動する美しさをつくりあげていくこと。それがリーダーシップなんだなと、改めて知る思いでした。

 

それぞれの花だけではなく、この花たちは、どのように育てられ、どのようにここにきて、そしてどのように組み合わせられてここに活けられているのか、そして花束になっているのかを俯瞰する視座も必要ですね。

 

組織の目的を明確にして、ビジョンを明らかにする。そしてそれを達成するためのあらゆる事項を議論したうえで、適切な環境をつくりあげる。仕組みであったり、教育であったりの対応を行うことで職場にきれいな花が咲く。そして、どのように束ねれば、また活ければもっともその花たちのもつポテンシャルが引き出されるかを考える。

 

すなわち、リーダーは自分も含め花を咲かせることに全精力を注ぎ自らを鍛え、そのプロセスにおいて部下を育成し、きれいな花を咲かせることが仕事ではないかと思います。

 

なお、花は栄養を与えなければ大きくならないし、また長く咲き続けることはできません。社員も同じです。社員にとっての栄養とは、本人とベクトルを合わせた目標の設定であり、その支援、成果による評価や処遇です。

 

そのことで達成感や満足感を得たり成功体験のなかで自信をつけ生き方、仕事の仕方を変えて成長するのです。

 

このような花は宿泊するホテルのロビーによく飾られていますが、花一本一本の美しさだけではなく、全体として花を活けた人の気持ちによりつくられた美が、ダイレクトに心に沁みてくる、そんな思いが伝わる生け花だと思います。

 

人が2人集まれば組織であるといわれます。何の手をかけなくとも自らの力で自然に(勝手に)育つ花もあるでしょう。しかし部下のうち指導育成しなければならない部下に対しては、彼らを慈しむようにリーダーが養分を与え育成する必要があります。

 

大変なことですが、のちに育った彼らを眺めながら、自分を振り返り、指導はうまくできたかどうか、十分に彼らの潜在能力を引き出せたのかを自問し、次に繋げることが必要です。

 

組織支援の仕事をしている限り、私たちはリーダーの横にいて、少しだけでもよい花に成長の糧となる、栄養のほんの一部を提供する仕事ができたら良いと密かに思うのでした。

 

 

前だけを見つめて生きる

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私を含め、自分ではじめに決めたことをやり通せない人は少なくないと思います。

 

どこかで妥協し、適当な着地点を自分でつくってしまうからです。失礼かもしれませんが、それはまるでアホウドリがどこからか持ち込んだ藁で巣をつくるようなものです。

 

海辺の風の強いところを避け、岩の間に巣をつくりはするものの、人が近づいてきても地表での動きが緩慢で捕殺が簡単に行えたことを、名前の由来としているアホウドリは、容易に乱獲されてしまいました。

 

アホウドリはながく保護されていたにもかかわらず、その効果は及ばず、今では絶滅危惧種となっているようです。 

 

それにしても人間の悪行のなかで、アホウと命名されてしまうのはあまりにも気の毒ですね。

 

ひるがえって私達はどうなのでしょう。迫る危機を前に、日本がなぜここまで来てしまったのでしょうか。全てを少子高齢化のせいにはできません。それは政治の間違いなのか、価値観の変容なのか、自然の摂理なのか、日本人の穏やかな属性が影響しているのか、よくわかりません。

 

ある程度の経済成長を遂げたものの、その後さまざな問題により可処分所得が30年前を下回っているにも関わらず、デフレなので何とか生活できると安心してしまったのでしょうか。  

 

全体としては明らかに勢いや情熱をもたない人々の国になったと思います。もちろん、私も同類であり壁を乗り越え前に進めていないもどかしさがあります。

 

初期は失われた10年でした。そして次は失われた20年、そして30年を経過しています。

 

このまま景気がいきなりV字回復をすることへの期待は薄く、コロナも含め先がみえない状況は変りません。少子高齢化が益々顕著になるなか有効な手立てなく、国民一人当たりの生産能力は益々低下し先進諸国では最下位となっています。

 

 勢いのある事業家は輩出されましたが、大きな日本発のイノベーションは起こらず、これだけ長い間、振り子は一方にしか振れませんでした。株価は3万円を越えたものの、逆に触れる(景気が良くなる)ことが一切なかったことはとても受け入れがたい状況です。

 

厳しい現実に直面し世界が大きく変わろうとするなか、世界で当たり前になる新しい価値観をなかなか受け入れない国民や企業が増え、失われた40年へ向かっているとの指摘もあります。

 

私たちはそろそろ汚名を返上しなければなりません。

 

世界中から見放される前に、一人ひとりが自分のいまの位置で、これ以上ない努力を重ね、難局を乗り越え成果を挙げる。

 

学習し知識をつけ、仕事で活用し、工夫に工夫を重ね、一つでも新しい改善や手法をつくり出す必要があります。時間を浪費せず価値創造に喜びを想う自分に成長しなければならないのです。

 

日本を救うのは既に政府ではなく他の誰でもない、自分でしかないことをすべての意識ある人々が気付く時期がきています。

 

前だけを見つめ多くの人々が動き始めれば、必ず環境は変わり、さらに組織が、そして地域が変わります。その変化は瞬く間に周りに伝播して広がりをみせ、アミーバのように拡散して、沈没しつつある日本をきっと覆い尽くすときが来ると思います。

 

リーダーなき改革の時代には、一人ひとりが自らの肉体と精神の強力な支配者となることを求められるのだと改めて認識しています。

 

先ずは少しでも自分が変われるよう、自分自身を見つめ直してみようと考えています。