よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

看護師定着の王道

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ヴィエンチャンの病院の医師と看護師


多くの病院で看護師が恒常的に不足しています。看護師が不足する原因はさまざまです。採用ができなかったり採用しても短期間で退職してしまうからです。なぜこのような状況になるのでしょうか。看護師のニーズに合致した病院運営をしているかどうかが問われます。

 

 病院で面接時に検討される看護師の入職したい病院への希望は多くの病院における我々の経験から把握できているのは以下のものです。

  1. 休みがとりやすい
  2. 勤務時間が短い
  3. 夜勤だけやりたい
  4. 保育所が整備されている
  5. 高い賃金が欲しい
  6. 教育を受けたい
  7. 急性期で疲れたので慢性期で働きたい
  8. 自宅の近くの職場で働きたい
  9. きれいな職場で働きたい
  10. 友人や先輩がいる

等々です。

 

ここからは自分のキャリア形成や、家族との事情が透けて見えます。

一方で退職してしまう看護師の退職理由は次のものです。

  1. 結婚するから
  2. 主人が転勤するから
  3. 育児に専念したいから
  4. キャリアを積みたいから
  5. 人間関係に疲れたから
  6. 自分の思った職場ではなかったから

退職するときの6の理由は、さらにさまざまな不満に分類されると思いますが、最も多いのは5でしょうか。

 

病院としては、入職したい理由を充たし、退職理由を排除することが期待する雇用が継続できる要因です。しかし個々人の希望や期待にすべて答えることはできません。

 

そこで焦点を絞って採用を成功させ、定着率をあげるためにはどうしたらよいのでしょうか。どの業態の病院でも必要なのは「明確なビジョンのもとに各人の役割が明確で、この職場にいると成長できるし働きがいがあると職員が考える病院をつくる」ことです。

そのことで風通しのよい職場がうまれ皆が前向きで勢いもでてきます。個人に何かあっても協力し合いチームで仕事ができる組織です。やりがいもあり、人間関係も良好になるのは明らかです。看護師一人ひとりの仕事の質が担保され、生産性が挙がれば、患者から評価され業績も向上します。利益はあとからついてきます。処遇の改善や制度や施設の整備も容易です。

 

個々の事象を念頭に置いたうえで、トップマネジメントが強いリーダーシップをもって前向きに、地域から訴求される良い病院づくりを行うことが大切です。著名な地域のブランド病院といわれる病院に看護師不足はないのは、そうしたマネジメントを行ってきた結果だと思います。

 

誰もが活気のある、自分の活かされる場所で働きたいと思うからです。多くの入職したい要望を叶え、定着率を上げるために退職したい理由を排除するために、採用の王道=マネジメントの王道を進むことが求められています。