よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

診療所の地域浸透大作戦

診療所の収益は単価×患者数×リピート率で決定されます。

単価を無秩序にあげられませんから、新患を増やし、リピート率を上げることで患者が増えないかぎり収益は頭打ちになります。ただ患者を待つのではなく、地域にどんどん展開し、自ら地域に染みるように入り込むこと(地域浸透)が必要です。

 地域浸透を具体的に説明すると、次のようになります。

 

(1)情報提供を怠らない

 患者は自分なりの情報を収集し、コミュニケーションし、体験を積み重ねることにより診療所のイメージをつくりあげます。

であれば、待つ対応ではなく、できるだけ早期に情報を提供することがポイントです。医療情報、得意な分野、職員の情報、その時点で行う取り組みなどが対象となります。

 

(2)コミュニケーションをとる

 患者と受付や診察時にしっかり話を聞き対応する、といったコミュニケーションをとることが大切です。しかし、限られた診察時間のなかだけでは患者との接点が少なく十分なコミュニケーションをとれない可能性があります。

他の機会を設けることを考えなければなりません。患者や地域住民と診療所の間に接点を増やし、コミュニケーションの機会をつくるのかが増患の重要なテーマになります。

 

 院内での告知やチラシの配布、医療セミナーを行うことで生活習慣を変えたり、 予防活動の情報提供を行うことがそれらです。

 さらに、自院のことを知ってもらうための診療活動以外での音楽会、お祭りに参加、学校での運動会へのボランティア参加、近隣のレストランと提携し栄養セミナー開催などさまざまな機会もあります。

 

 あらゆる場面で自院の活動に触れ、自院の理解をしてもらうことがその事例です。地域に自院が浸透することで、多くの患者を救えるのであれば敢えて待つのではなく先んじて地域に出て地域の患者にさまざまなメリットを提供していくのです。

 

(3)良い体験を積み重ねる

 来院しなければ診療所のことが判らないことが多く、来院して初めて理解してもらえることがあります。逆に来院してから患者の思いが変わる要素は沢山あります。何も印象を持たず来院したが、来て良かった、というのは合格として、良い評判を聞いたが来院したら酷かったということのないように取り組まなければなりません。

 適切な対応や接遇をしっかり行うこと、医療質向上への日々の努力が大切です。

 

(4)信頼され他に話してもらう

 当院に来院し、積み重ねたよい体験を信頼につなげ、その内容を第三者に話してもらえるようにならなければなりません。最終的には患者の立場にたち、ニーズに的確に応えるなかで適切な診療活動を続けていくことが必要です。

 診療所運営に王道はなし、ということなのでしょう。どの業者でも同じことが言えますね。