よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人がやる気になる3つのポイント

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エイブラハム・マズローは、5段階欲求説のなかで、人には尊厳の欲求があり、人から認められることにより満足する。またその上位に自己実現の欲求があり、なりたい自分になることで人は満足すると説明しました(人間の心理1954年)。

 

また、ハズバーグは二要因理論(動機付け・衛生理論)(1959年)で、人間が仕事に不満を感じる時は、その人の関心は自分たちの作業環境に向いている(衛生要因)のに対して、人間が仕事に満足を感じる時は、その人の関心は仕事そのものに向いている(動機付け要因)としました。

 

組織の政策と管理・監督、作業条件、給与、対人関係は衛生要因であり、うまくできないと不満足を感じるが、すごくよくても大きな満足にはつながらない、そして、仕事、責任、達成、承認、昇進が満たされると満足感を感じるけれど、欠けていても不満足にはならないと述べています。

 

このことは、一定程度の衛生要因が保たれていることを前提として、動機付け要因を高めていくことが職員の満足につながるという意味をもっています。

 

いくら給与を上げても仕事で満足できなければ、職員は満足できないということを言っています(価値観の問題ですが、給与は高いのに、やりたいことができないので辞めるという事例も一般企業では数多くあります。とはいっても、職員が満足せず給与を上げ続けるための利益を確保することは困難ですね)。

 

マズローの尊厳の欲求は評価や承認を意味しているし、自己実現の欲求も自分がなりたい、やりたいことの達成を表現しており二要因理論と符合します。

2つの理論はとても古いものですが、これ以降、この手の理論が世の中にでてきておらず、古くて新しい考え方といわれているのです。

 

 

私にとっては、人の評価は関係なく、自分のやりたいことをやり達成感を得ることが仕事の動機にはなっていますが、(心のどこかで)、人から認めてもらいたい、褒めてもらいたい、自分がなりたい自分になりたい、やりたい自分になりたいと行動するプロセスは、人のやる気につながることを容易に理解できます。

 

人がやる気になるためには、達成、承認、評価の3つのポイントがあることが分かります。

 

組織は、人がやる気になる要因を「組織の進む方向を示す」→「目標設定」→「個人の役割付与」→「組織と個人の公約」→「役割達成支援」→「評価・処遇」といった仕組みに落とし、職員に提供する必要があります。

 

上記は、組織の決めたことを、本人がやりたいこと、こうなりたいということとすり合わせ、目標を達成するプロセスでそれらを達成していくことを相互に約束。

そして、本人が役割を果たせるよう上司や組織が支援し、目標達成。その結果はよくやったねと承認もされ、本人も達成感を得ながら、評価され、自己実現できるというながれです。

 

このプロセスで報酬への影響や昇進の道も開けます。達成、承認、評価の3つのポイントが大切といっても、それらが組織において具体的に提供されなければ意味がありません。

 

職員が納得して何かをやるための「やる気」を引き出すとともに、成果を挙げて満足すること。そのうえで報酬や昇進を得て不満足をなくす取組みを、果敢に行っていくことが有効です。

 

その場合、「成果を挙げて」という場面においては利益=キャッシュが生まれている状況になっていなければ、報酬や昇進を付与することはできません。

 

組織にとり、「成果」は、どこかで利益やキャッシュにつながっていなければならないのです。

 

組織目標を決定するときには、職員の行動が収益増、コスト削減につながるような目標設定を行わなければならない理由です。

 

生産性を上げる、というキーワードが常に重視されるし、組織の文化になっている必要があります。

 

同一資源で多くの成果を挙げるためには、仕組みの見直し、個人の技術技能の向上が必要です。仕事の質を上げるということと、生産性向上は類似していますが、新たな経営資源を投入して仕事の質を上げるのは誰でもできます。

 

生産性を向上して仕事の質を高め、収益を上げることが利益やキャッシュを生む要因であるとして、仕事を見直すし、つくりあげていく、という目標の設定、それ以前の戦略、それを支えるビジネスモデルをしっかりとつくりあげていく必要があると考えています。

 

難しい時代になりましたが、常に熟考し、創意工夫を積み重ねることができるよう、努力したいものです。