人がやる気になるのは、なぜなのか。とても難しい問題です。全ての人がやる気になることができる方法があれば、誰もが感動し採用する事でしょう。
ご承知のように動機付け理論や、動機の喚起に対する考え方は沢山あります。ここでは、それらを列挙して検証することはしません。結論からいえば、あまり複雑に考えないことがポイントです。
職員がやる気になる要因を私の経験に基づく考えをカテゴリー別に説明します。
【リーダー・シーダ―シップ】
- 魅力的な人間性
- 懸命に医療に取り組む姿勢
- 高いマネジメント能力
- 仕事に対する厳しさ、真剣さ
- 戦略の正しさ
- 適切な事業計画
- 実行力
- 潔(いさぎよ)さ
- 思いやり
- 礼儀正しい言葉遣い
- 豊かな表情
- 弾む明るさ
【組織風土・文化】
- よい医療をしようという意識、執着
- 業務改革に対する意欲
- ダメだと思うスタッフを支える厳しさと優しさ
【職員】
- やりたいことができている
- やらなければならないことが腑に落ちている
- 上記を実行するための阻害要因が排除出来ている
これだけです。しかし、こんなにあります。一つ一つの項目の奥行は深く実現させるためには議論すべきことはいくつもあります。とりわけ【職員】3.「(前向きな行動に対する)阻害要因が排除出来ている」については、公私にわたる多様な阻害要因があるため組織としてはコントロールが困難な領域です。
しかし、少なくともここで示すリーダーや組織があれば、職員は自分の思いを遂げ、この組織は楽しい、やりがいがあると、阻害要因が排除できる可能性を強く感じてやる気になります。
ルールや詳細な仕組みは、その中で自助的にでき上がってくるし、また人も育ちます。新しい仕事や環境変化にも柔軟に取り組んでいくことができます。さらに、皆が常に合目的的に動くことができるようになるのです。
なお、ここで提示したリーダーがいたり組織がどの組織にもあるかないかといえば、それは0か100ではありません。どのような組織も良いところを持っているものだし、幹部のなかにも上記を地でいく方々も少なからずいます。各職場のリーダーも同様です。
要はここでいう状況をリーダーが志向し続けているか、あるべき組織をつくろうとしているかどうかが職員のやる気に大きく影響する、ということでしょう。
そのことを理解し、理想の状況に少しでも近づくよう努力することが大切なのだと思います。
昨日も、ある会合で分野の異なる魅力的な四人の方々と語り合いましたが、さすがにそれぞれ組織や事業のトップとして、成果を挙げているだけのことはあると感心しました。上記を体現しているリーダーたちであり、多くの示唆を受ける時間を過ごせました。
少なくない数の組織が、持てる力を最大限発揮し組織や職員の生活そして日本経済を支えています。職員が前を向き頑張っている証左です。そうではない組織がなくなるよう、優れたリーダーシップの発揮により職員全員がいつも「やりきっている」という満足を得られる組織が少しでも増えるよう、願っています。