混沌とする社会に於いて組織が成果を以て動くためにはどの時々は一つの目標に向かうことが必要です。理念やビジョンの共有や、ルーチンになりがちな日々の仕事を行うときに理念やビジョンを達成するための具体的な共通目標があれば、組織は強くなります。
もちろん組織の目指すところが、個人(従業員)の目指すところと一致していなければ効果は薄くなるのは当然です。組織の目指す方向と個人のやりたいことが一致することが絶対である、といってもよいと思います(両者を一致させるための方法は別項で説明しています)。
仕事をするときの唯一の目標はどの業種においても明白です。
何を通じてそうするのかに事業の特徴がでるものの、それは「質が高くかつ合理的な商製品サービスの提供を志向し続けること」。そのための仕組みづくりや個人の技術技能に、すべての目標が収斂するからです。
なので、日々の組織と個人の活動がほぼ一直線にならび、組織の目指すものと個人の目指すものが完全に一致すれば、組織は必要な仕組みをつくり個人はそのプロセスで力をつけ価値を生み続け、目標は達成されます。
なお、目標を明確にしたうえで、従業員が成果を挙げるためにはもう一つ大事な要素があります。適切な処遇です。
ただ、ハズバーグが言うように、給与等の仕組みは整備されていないと従業員は不満を感じますが、整備されていても満足につながり「やる気になる」わけでありません(衛生要因)。
「やる気になる」ために大事なのは、目標を達成すること、目標達成により評価され承認されること、目標化された仕事そのもの、目標達成への責任、評価による昇進・向上といった、仕事の満足・魅力を感じられること(動機付け要因)なのですから。
しかし、いくら頑張っても他の組織と見劣りがある給与や頑張っても変わらない処遇しかできない組織であれば、仕事の魅力が、給与等から感じるマイナスを大きく凌駕しないかぎり、個人が力を出せない可能性があります。
とりわけ利益が出ているのにもかかわらず、投資や留保にばかり目が行き、従業員に分配しない組織は、組織と個人の思いが合致していたとしても、結果として従業員は不安になり、どこかで自分の力を100%発揮できないシコリをつくります。
マネジメントの重要な部分です。
マネジメントは「利益は顧客評価の証」として、利益がでる組織をつくるために戦略を立案し行動計画化し、内外スタッフの協力を得て、ありとあらゆる手を打つ必要があります。
利益が出れば、その立役者の従業員に適切な評価を与え処遇を変えていくし、成果を挙げられない従業員にはそもそも力がないのか、力を発揮できない何かの理由があるのかについても明確にしたうえで、リーダー育成や環境整備、評価制度や的確な教育を行うことになります。
仕事をしていると、ここでいう仕組みを整備しきれず、日々を何とかしのいでいる企業が多いことに気が付きます。しかし、それら企業であっても適切な処遇の仕組みをつくる必要性を理解し、すぐには無理としても、トップがあるべき組織をつくりあげていく方向を示しさえすれば、力を発揮する従業員がいるのは事実です。
共通目標をもち、従業員に役割を付与し、うまくいく方法を提供する、もしくはそれらを従業員と共につくれれば、必ず成果を挙げられると考えています。
- 明確な目標を開示する
- 人は自分の目標と組織の目標が一致するとやる気になる
- トップマネジメントはリーダーとして、利益の出る戦略を提示するとともに、従業員とともにそれを実行できる環境をつくる
- 成果に応じて評価され処遇されるなければならない
- 成果をあげられない者に対しては教育が必要
という結論です。
なお、最終的に本当によい組織をつくるためには各職位で力を発揮するリーダーの、適切なリーダーシップが必要です。リーダーが強く組織をけん引していかなければなりません。
リーダーは常に、事業対する情熱を持つことはいうに及ばず、従業員一人ひとりに目を配り、一人ひとりを思い、大切にし、そして組織全体を一定の方向に誘導できる人です。
リーダーの思いが伝わり日々の業務に染み込むことで(残念なことにどうしても着いてこれない者もいますが)従業員一人ひとりの意識が変革され、行動が変わり、成果が上がるのだと思います。
なので、リーダーは、
- 目標を達成することに執念を燃やす
- 各組織のリーダーの人心掌握を怠らない
- 従業員のデータをチェックしながら一人ひとりの指導を明確にする
- 役割を与え、達成できるよう組織をあげて支援する
- 常に従業員を公平公正に評価し平等に処遇する
必要があります。
ここで説明したことへの取組みを行い、次の時代に飛躍する企業が多く生まれることを期待しています。