よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

患者さんの治療原価について(3)

病院でいえば、直接材料費はある患者さんに直接使用した医療材料や直接把握できるお薬といったものをいいます。

そして直接労務費は、医師、看護師さんや、コメディカルさんが、その患者さんにかけた時間×単価をいいます。

さらに治療間接費は、間接部門(経理、総務、医事等々)のコストや、補助部門(コメディカル)のコストや直接部門(外来、病棟)においても、建物、設備、消耗品、電気水道のコスト等々、ある患者さんに直接必要とならないけれども、病院を運営するために必要なコストであって、その患者さんに直接負担させられないけれども、例えば1ヶ月間に病棟でこれだけコストが発生して、それを総入院患者数が何人だから、結局一人当たり治療間接費は○○○円です、といったように使います。

ふ~。車でいえば、ある車の原価は、鋼板や直接把握できる部品などの材料費、製造のために直接把握できる労務費、そしてその車を生産するために必要としたコストですが、直接ではなく、間接的に発生し、車1台当たりに負担させるといくらです。といったものと同じですよね。

原価計算的には原価要素=原価を構成するアイテムは変わらないっていうことです。

但し、医療の場合には、いちいちこの患者さんに、医師が時間を何十分使った、看護師が何十分つかったということを把握することが困難です。材料費など、レセプトで請求する項目は、その原価をチェックできるけれども、時間は、はいバイタル何分、点滴何分、ナースコールで呼ばれて何分といったことをストップウォッチで計るわけにいかないですから…。バーコードリーダー、ICカード等々での時間チェックが行なわれる可能性ありますが、だから、患者別疾病別原価計算が労働時間が測定できないために、直接労務費が計算できす、なんと、ネックになっています。

したがって、タイムスタディをしたうえで行為別に標準時間を決定し、その標準時間を使おうというやり方がポピュラーなんです。

行為別原価計算といえば、クリティカルパスで~す。つまり、パスの行為一つひとつが直接労務費測定の基礎となるのです。パスから行為を抽出、時間を測定、単価を乗じて直接労務費を計算するということも行なわれています。

もちろん、医療は車と違い、大量生産ではなく、個別に対応するもので、非常に仔細な個別性があります。しかしDPCの時代を向かえ、治療原価を理解し、適正利益を出すよう工夫する(例えば医療の質を向上させることにより少ない時間で多くの仕事をできるようにすること)ということで十分に理解し、対応していく必要がありそうです。