よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

患者さんの治療原価について(4)

コメントをいただいた方に「現場の方は原価を考えるよりも、本当は自分の限られた時間のなかで、どれだけ多くの患者さんを支援できるか、重篤な患者さんを看護できるのかと考えることであると思います。そうすれば自ずと時間の使い方を考える、それは仕事の仕組みがおかしい、ということや自分の技術技能を高めなければ…ということにつながり、結局はよい医療をしながら、コストを引き下げることになるからです」と言うコメントを書きました。

現場で働く方に、原価意識をもてという指示がより一層強くでてきたのは最近であると考えます。
医療制度改革のなかで、診療報酬あがらず、受診患者数は減少し、そしてDPCときて、コスト意識を持たない病院は淘汰される可能性が高くなってきたからです。

病院が患者さんからの評価の証である適正利益を確保しながら、病院を維持継続し、そして地域医療に貢献しなければならない現状において、コスト意識を持つことは、ネガティブにコストを削減しなければ病院が維持できないし、給料も支払えないからね…、ということではないと思います。

限られた時間のなかで、上記コメントにあるように、個々の医療従事者が自分の時間をどううまく利用して最大の成果をあげていけばよいのかといったときに、無駄なことは無駄、必要ないことはやらない、優先順位をつけて多くの仕事をするといった、良い医療を意識することそのものがコスト意識をもつことであると考えるからです。表裏一体であると考えます。

良い医療であったとしても、物理的時間やコストを無視したなかで無秩序に医療を提供していくのと、良い医療を限られた経営資源(時間、情報、人、物、金)のなかで、最大化するためにはどうしたら良いのかと考え、行動することが必要で、そのことによってながく医療を地域で提供できる機会をつくるとともに、自らを成長させる大きな機会ともなると考えるのです。