よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

かかりつけ医(7)競合しちゃうかも…

病院の経営会議で、訪問診療チームと、地域連携チームからのそれぞれの発表がありました。

訪問診療チームは、病棟から在宅へ、という動きのなかで、訪問診療をも含め医師が在宅でのケアを行なうためのさまざまな工夫をしていることの発表及び、指導料をとれる診療についての説明があり、地域の患者さんに対し、安心して療養ができる体制づくりをしたいという対応についての話は、懸命に病院の機能を活用し、地域に貢献したいという発表者である看護師さんの気持ちが伝わってきました。

一方で、地域連携室は、紹介率、逆紹介率、返送率等について発表しながら、どうしてもベットが満床であるために、患者さんを受け入れることができない、といった説明がありました。

たちあがったばかりのチームであり、今後地域完結型医療のなかで、紹介を増やし、増患と現在の患者さんの構造転換(できるだけ当院での治療を必要とする患者さんに来ていただく)を行なうための活動を展開する必要があります。

診療所に対する的確な必要患者情報と、診療所に対するメリット提供(診療所がメリットがなければ患者さんを紹介してくれない)が必要となります。

前連携を行なうことで患者さんを紹介してもらうとともに、後連携では診療所に患者さんを紹介し、在宅医としての診療所の先生に地域でみていただく機会をつくりあげていく必要があります。

病院の機能をみたときには、急性期病院であればまさに急性期病院の機能を果たすために、急性期の患者さんを診療所から紹介していただくことが必要ですし、その代わり、ながく病院に来ていただいて、安定期に入っている慢性化した患者さんや、あるいはお薬だけで何時間も待たなければならない患者さんを診療所に逆紹介し、そこで診療所の役割を果たしてもらおうというながれをつくりあげていく必要があります。

専門医とプライマリー(家庭医)の役割を明確にしたうえでの地域完結型医療が、患者さんにとっても病院や診療所にとっても、大きなメリットとを享受することができるということについて理解が不足しています。

でも、今回の発表は妙に競合するな~という考えがあります。ターミナルの役割を果たす終末医療が診療所には困難であるという見方もあり、一部は仕方がないとは考えますが、訪問診療=在宅について病院側が力を入れて対応していくかぎり、後連携における診療所との連携の一部は病院側からつぶしてしまうことになります。

再度、徹底した地域完結型医療を行なうためには、ある部分は我慢、ある部分は享受といった関係を作り上げていく必要があります。18年、20年、22年の改正のなかで、点数配分が行なわれ、急性期病院と診療所の役割がより一層明確になるための対応が行なわれると想定されますが、他意はなく、制度で求めているものを良く把握、本来の道筋を良く理解すれば、自ずと競合関係を生まない、そして双方にとって、そして何よりも患者さんにとってもっとも良い医療環境ができると考えています。

1、通院時間が短い。待ち時間が短い
2、安心できるよう専門医とかかりつけ医との立場で患者さんをみれる
3、かかりつけ医を持つことでより仔細に自分のことを判ってもらえる
誤解のないように、患者さんにとって地域完結型医療が良い結果を生むことを話しておきます。