インフォームドコンセント(説明と同意)ということが病院における説明義務というイメージがあります。手術を受けるかどうかを決定するための説明、セカンドオピニオンを受けるかどうか決定するための説明、あるいは転院する決定をするための説明といったものがここでのテーマとなります。
実際に訴訟においては、手術が終わったあとに死亡した例において、十分な説明を得なかったために決定したことが意図しない結果を生んだということでの争いとなるものが多いようです。
しかし、また告知しなかったことをも含め、説明が十分でなかったというだけではなく、扱いが正当ではなかった、態度が納得できない、あまりにも目にあまる、といったことが総じて患者側(原告)のうらみとなり、訴訟につながることが多いという弁護士の説明がありました。
これ以外にも、言うことが看護師によって違う、説明の内容が納得できない、といったこともこの範疇に含まれるとすれば、院内における患者さんに対する説明機会を入院から退院まですべて列挙し、その内容や説明の仕方、さらにいえば態度といったものまでを統一しておくことが必要ではないかと考えます。
患者さんの家族に、○○先生がついているから大丈夫ですよ、といった何気ない説明が、ぜんぜん大丈夫じゃないじゃない、といった反感を後に買うことになることもあります。
軽々に(軽々しく)安心させようとすることをしないようにする、事実を事実として伝える、余計なことは話さない、重要な診断に関わることについて、大丈夫だと思いますよ、安心して任せればいいからといったことなども説明しないようにしておくことが必要であると思います。
説明義務違反の基本となることは病院と患者さんの信頼関係です。信頼関係を失わないように常に真摯に対応する個々人の姿勢や病院の姿勢が訴訟を起こさない、第一歩であると考えます。
①院内における説明機会の列挙
②患者さんから問い合わせのあった、あるいは質問を受けた事項の列挙
③それらの統一化
④マニュアルへの反映
⑤トレーニング
といったことが実施事項です。
これはインシデントやアクシデントを起こす、起こさないといったこととまず切り離し、病院と患者さん、職員と患者さんのコミュニケーションの問題をなくしていくための、リスクマネジメントとして捕らえる必要があります。