よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

デューデリチーム物語(1)

 先月から今月にかけて、病院のデューデリゼーション(調査)を3つ実施しました。いわゆる買収のための調査です。チームは公認会計士と医事担当者、補助者から構成された3~4名で動きます。病院によってスタッフは入れ替わりますが、ほぼこの構成で、財務と医療の調査を実施することになります。

 財務デューデリにおいては、病院が作成している決算書が買収先に対し正しいということを証明するために行います。実際のところ、会計処理が間違っていたり、粉飾している、あるいはオーナー一族の不正の温床になっていることなど、びっくりすることが数多く発見されます。そもそも買収されなければならない理由があるわけで、どの程度網羅的にそうした問題点を発見するのかがチームのミッションになります。

 また、一方で医療デューデリを実施します。病院の概要、施設基準、点数が分析され、レセプトのチェックが行われます。そこでは医事自体の質や弱点も把握されますし、また、こうすればこのような点数がとれるようになる。

 そしてこういう医療をすれば、この売り上げはとれる、ということが認識されます。最近の事例ではやはり看護師が少なく施設基準が最低レベルにいっているため、結局収益が激減している病院、手術内容があまりにも貧弱になってしまい、点数がとれていない病院、医事が弱いので、とるべきものがとれていない病院など、さまざまな理由により収益を落としている例がでてきています。

 当然こうしたことでしか収益悪化の原因はないわけで、そしてある意味強化しようとしてもできなかったわけで、それらを発見したとしても病院側も理解していることも多くあるわけです。

 しかし、我々チームはファンドの要請に応じて、これだけの利回りでの投資をしたいという方針に対し、それは困難です。あるいはなんとかコストリダクションできれば、利益はでますといったアドバイザリーを行う必要からの調査をしなければならず、とにかく重複なくかつもれなく問題を提示しなければならないわけです(続く)。

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