よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

権限規程は経営資源最適化の道具です(2)

(3)承認
  承認は、何かを行うことを承認する権限です。これは決裁と同義です。すなわち起案者が起案し、審査をする者がチェックしたのち、わかりました、それではそれをお願いします。といった決裁を行うことが承認者の権限です。決裁を行ったと言うことはそれについて責任を負うことですから、責任を果たすためには決裁をする対象を充分調査をしなければなりません。調査をしないで承認してしまったということがあれば、あとで最も責任を問われるのは承認権限者です。

 (4)報告
  報告を受ける権限です。報告を受ける権限を持つ者は往々にして最終の責任を持っている者です。
本来はすべて報告権限も承認(決裁)権限も、そして起案も審査も一人が権限を持っていればこれほど楽なものはありません。組織であっても、これをしよう、まてよこれでよいのかな、OKだ、それでは実行しよう。このことは記録に残しておこう。といったながれがそれです。

しかし、組織が大きくなり業容が拡大すれば、間違いなく一人では何もできません。そこで権限規程をつくり、すべての権限をトップが委譲する。それが組織のなかでそれぞれの役割をつくりあげるポイントとなるのです。権限をすべて委譲したのであるから、最後には報告を受ける。ということは当たり前のこととなります。

だた、報告権限を持っている者は単に、ああそうですか…と報告を聞くだけではなく、それはもう少しこうしたことをしなければなりません。こうしたことを追加的にチェックして下さい。といったことについて承認権限を持つ者に指示をしなければなりません。本質的には最終的な責任はすべて報告を受ける権限を持っているものが負うからです。承認されたものがそれでよかったのかどうかについては、きちっと確認を行い、めくら印を押すということが無い様にしなければなりません。

3.考え方
   職務の分担や権限の行使担当者が決まっていないと、誰が責任を取るのか、誰が責任をとらなくてよいのかが不明確になります。

責任をとる代わりに権限をもつ。権限があるから責任をもつ、という関係をつくりあげることで、組織における役割が明確になります。役割が明確になることによって漏れのない、無駄や過不足のない仕事ができるようになります。組織が有効かつ円滑に運営され、経営資源が最大限活用されることによって、期待する成果を出すことができます。
   権限規程がなければ、こうしたことができず組織の構成員はバラバラに動き、誰も責任をとらず、そして人のせいにして何もせず、あるいは皆が同じことをしてしまい、
  仕事はメリハリのないバラバラなものとなります。権限規程を早急に作成する必要があります。

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