よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リーダーの条件(3)

(3)目的の受容
 今、組織の目的は一体なんであるのか、といったことについて充分理解するとともに、それは自分以外に達成するものはいないという受容れ(うけいれ)をすることが必要です。

 この仕事の目的は何かを考えることは使命感のところでも触れたように自分の仕事は何のためにしているのかを考えるために必要です。(1)が自然に心に湧き上がり、それで(3)を考えるようになったのか、(3)があるから(1)の気持になるのかといった違いはありますが、(1)と(3)の項目は相互に関連しています。目的が不明瞭なときに使命感は生まれてきませんし、使命感をもったとしても、漠然としたものになってしまいます。目的が認識できたとしても、使命感がなければ何をしても中途半端になってしまいます。目的を理解できても受容れる(自分しかできない、自分の仕事であるという思いをもつ)ことはできないからです。

 使命感のところで説明したこととダブりますが、なぜこの仕事であるのか、仕事を通じて何ができるのか、といったことを考えてみる必要があります。その質問に対する答えは一人ひとり異なってもよいと思います。仕事に対する意味づけをできるかできないのか、ということであるからです。自分として何を思い、納得できているのか、仕事に全身全霊を傾けられるほど、仕事をしたい、仕事が好きだという領域に達することができるかがポイントとなります。

(4)目標の受容
 組織目標はなにか、今組織全体で求められているものは何か、組織でしなければならないものは何かについて考えてみる必要があります。
 組織の整備、仕組みの構築といった方向性やマニュアルを作成すること、○○さんをこう指導すること、といった日常すべての仕事について、どのような目標があるのかについて、頭のなかで理解しなければなりません。それらを紙に書き出し、常にできたかできていないのかの確認をし続けていく必要があります。

 現状でもっとも重要な仕事は、医療であれば、例えばDPC導入のための平均在位日数短縮であり、そのための病棟における○○パスのバリアンスマネジメントであり、2日間短縮して入院期間をAB範囲に抑えるための業務改革であり、そのための動線管理であり個人の教育であり、さらに具体的には外来パスを作成し、術前前日入院の徹底を行う等、ということを頭に叩き込むとともに、紙に書き、机の前に貼っておく、といったことができているのかについて振り返ってみる必要があります(続く)。

 知る⇒理解する⇒受容するというながれで人はある命題を自分のものとして捉えるようになります。
受容(受け入れる、自分しかできないと覚悟)することが大切です。
 物事を自分の問題、自分が達成するという意識のなかで実行できる者、率先して実行するなかで人を動かせる人がリーダーとして認められることになります。


「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」