よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リーダーの条件(4)

(5)計画性
 組織の目標をどのように達成していくのかについての計画を立てる必要があります。依然から説明しているように、PDCAが重要です。5W2Hについて何度でも繰り返し理解していく必要があります。そしてそれができているのか頭のなかで1秒で確認していくことが必要です。何かをするときには瞬間、
①これはどこで
②なんのために
③誰が
④何を
⑤いつまでに
⑥どのように
⑦いくらで
実行すべき仕事であるのか、ということを考えて指示を出し、あるいは行動しなければならないのです。こうした計画が正しく立案できず、パブロフの犬(条件反射の実験=条件反射とは、動物において、訓練や経験によって後天的に獲得される反射行動のことで、ロシアの生理学者イワン・パブロフによって発見され、パブロフの犬の実験で有名になった。パブロフ博士が犬がえさを食べるときに必ずベルを鳴らすようにしたところ、ベルを鳴らすとえさがなくても犬がよだれをたらした、という話)のように会社に来れば仕事モードに切り替わる、ということだけでただ、仕事を繰り返すことでは成果をあげ続けることはできません。

 ある意味、仕事に対してそうした習慣をつくりあげればすばらしいことではあるかもしれませんが、幹部は、餌が毎日毎日目の前に置かれ、あるときには置かれないのか、そしていつもベルが押されて餌がでてきていたが、なぜ、ベルがなっても餌がでてこないこともあるのだろう。ベルと餌の関係はなんなのか、そもそもこいつらは何をしたいのか、ベルが鳴ったからといって餌がでてくることがないのによだれを出すのはもったいないし、もっと冷静にならなければならない。で、ところでこの餌が保管されているところはどこだろう、どのように餌が俺の前にでてくるのか、もっとうまいものを喰うためにどうすればいいか、まずそうな顔をすればいいのか、餌がでてきても見向きもしないとか…、ま、餌がでてきたらよだれをだそう。といったように考え計画的に行動していかなければならないのです。


 物事を分析し、考えベストの方法を開発し、そこで計画を立て、実行に移していく必要があります。

(6)行動力
計画を立てたら、絶対にそれを達成していく必要があります。したがって、フットワークがよくなければなりません。何かあれば自分で動く、指示を出す、電話をする、調べる、指示を受ける、連絡する、相談する、記録する、PCを使うといったことについて面倒くさいという人はリーダーにはなれません。

 常に体を軽く、行動できる、頭を切り替えられる、そして次々に新しいことを考えることも行動力のなかには含まれます。単に動きが軽い、すぐ行動するといったことだけではありません。全体的にフットワークをどうしたらよくできるのかということを訓練する必要があります。何かあれば俊敏に考え、行動できるためには、いろいろなものに触れ、いろいろなものについて勉強し、深く考え、自分で動くくせをつくるところから始めることが必要です。

 そして自分で体得したことを部下に伝えていく、部下に指導するというながれのなかで組織としての行動力をつくりあげていく必要があります。

 なぜ、このように当たり前のことを説明するかと疑問に思うかもしれません。ただ、実際、病院で仕事をしていると、まるで不思議の国のアリスに出てくるうさぎさんのような人がたくさんいることを看る機会が多く、どうしても基本に立ち戻る必要があるのではないかという思いが私にはあります。当たり前のことをどうすれば当たり前のようにできるのか…。これが病院にいて思うことです。物事は単純ではありません。いろいろな事情があるでしょう。しかし、基本を踏めない人はやはり成果をあげることはできない。これが真実です。

 形式ではなく、実質的に仕事の成果をあげることができる人は基本に忠実です。行動規範が基本に根ざして出来上がっている。これが大事です。目で追うだけでは当たり前のことも、自分のなかで一つひとつ反芻してみることが大切です(続く)。


「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」