よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

左右のドアからお降りくださいって…

 東京の事務所にいつもどおりに出勤し、ひととおり来週のセミナーの資料を作成したり、提携先からのコンサルティング依頼を受けたり、決算の打ち合わせやメールのやりとり、そしてお客さんからの電話を受けていたら、あっという間に会社を出る時間になりました。

 空港で買った崎陽軒のシュウマイ弁当(これおいしっいす)を急いでほおばりながら、飛行機に乗り込み、羽田から伊丹、伊丹からクライアントまで3時間半ほど要して事務長、地域連携室長、ドクターとミーティング。病院に3時間滞在し18時すぎまで打ち合わせをしたのち、とんぼ返りで東京に戻りました。往復の飛行機は妙に暑く、落ち着かない時間をすごしました。

 戻れば東京は雨で、夏もそろそろ終わりになるというのに、まるでこのまま去るのを惜しむように蒸し暑さで私を迎えてくれました。そういえば今日、はじめての経験がありました。

 飛行機のアナウンスで、前方左右のドアからお降り下さいといった説明があり、自分は左側は手前、右側は前方の出口という意味であると思っていたら、本当に飛行機最前方の左右のドアが開いていたことです。

 ゲゲどうなっているんだ思いましたが、本当に双方に出口があり通路につながっていました。しかし、左の出口は遠回り系で、右の出口がゲートに近い、そんな距離感です。右からでて空港に入り、右にいくといったながれです。左から出ればより遠いところから右に進み、右の出口から通じている通路を経てゲートに進みます。

 ながなが説明しましたが、ありえないと考えることや思い込みがあるなと反省しました。アナウンスを聞いたら、否定せず、どのようなことが考えられるのか検討するべきでした。硬直的な発想からは新しい価値を生むことなどできやしません。ちょっとショックでした。

 同じようなことは思い起こせばコンサルティングの場面でもあります。

 今日も、クライアントの病院が地域支援協議会をスタート(名称は地域懇話会)し、ケアマネやヘルパーと医師や病院看護師、スタッフとのコミュニケーションを図りはじめたのですが、どうしても私たちが考えているパターンで次に進むよう説明をしてしまいました。

 しかし、地域と病院のコミュニケーションの取り方、ケアマネ協議会からの研修依頼、ケアマネからの勉強会の提案等々、現場で進んでいることも多数あり、私たちが地域支援協議会という地域浸透戦略を進めていくよう説明し、それがスタートしたら、私たちが思い描いている方法で、想定している結論を得るためには、これしかない、みたいな思い込みで指導してしまう、しかし、実際には作業を進めている者には、それなりの思いや環境の相違があり、独自の進め方がより適している可能性も多くあるのだということに気がついたのです。

 焦っているつもりはありませんが、コンサルティングの立場上、早く成果をあげるために(この場合には地域浸透による連携強化、さらには増患への誘導)どうしても一定のパターンや成功モデルを思い浮かべて話をしてしまうことがあります。
 方法論にはさまざまなものがあり、またプロセスも多岐にわたる、ということをその都度判断しなければならいことを時々忘れてしまいます。 ある意味そうした事象の価値についてのアセスメントをする必要があるのでしょう。落ち着いてよく吟味すればよかったと思うのです。

 結局、フレキシビリティがない。柔軟ではないということになります。めったにはないのですが、こんなことがあるとやはりへこみます。最後まで反省しきりの一日でした。