新規にスタートした関東のある病院における経営改革のキックオフのときに利用したペーパーです。とてもシンプルなものですが、説明します。
1.はじめに
今回の病院改革の全体像を理解する必要があります。
全体像を理解したうえで、必要な事項を列挙し、当該事項を達成するためにスケジュールを立案し、作業を行っていくことが必要です。
2.内容
(1)改革の目的
利益を出し、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー-維持投資キャッシュフロー)を潤沢にすることにより、借入金の返済を行うこと、新規の投資活動を行うことにより、安定的な病院及び施設経営を行なうための体質をつくりあげる。
(2)利益を出すということ
利益を出すためには、
①収益の最大化
②費用の適正化
を行う必要があります。ここで留意しなければならないことは、一定の収益を得るために必要な費用は消費を行うということです。投資に対する成果が投資を凌駕するのであれば、投資を行うといった発想です。銀行からの調達ができないとすれば、
①営業利益の確保を前提とした営業キャッシュの確保
②営業債権の流動化
②ファンドからの調達
③縁故債による調達
④寄付による調達
により資金調達を行うことになります。
収益は患者数×単価ですから、
①増患
②点数をとれる治療
を行う必要がありますし、
費用は絶対額と生産性の改善による単位あたりコスト削減の2つに区分されますが、
①廉価で質の高いもの
②集中購買によるコスト削減
③内製化によるコスト削減
④止めてしまうことによるコスト削減
そして何よりも
⑤生産性を向上することによる単位あたりコスト削減
ⅰ)仕事の仕組みの見直し
ⅱ)個人の技術技能の向上
が必要です。
(3)キャッシュフローをつくるということ
利益=キャッシュではありません。
①会計的に費用になるが現金がでていかないものもありますし
②未収入金のように収益になるけれども入金するまでに時間がかかるもの
もあります。また、
③減価償却や在庫のように投資をするけれども費用になる金額が少ないもの
もあります。いずれにしても、利益をつくってもキャッシュがなければ経営はできません。
上記から、利益をあげるために収益を最大化、費用は適正化を図り営業利益を出すとともに
①未収入金はなくす
②在庫は減らす
③支払いはサイトをながくする(短くすることで値段を引下げることがあり、ながくすると高くなることが多いため留意が必要です)
3.ストーリー及び委員会活動
上記のために、
①戦略を立案
②事業計画を立案
③部門計画や診療科別の計画に落とし込み指標を管理しながら
④当初の事業計画どおりに行動する
ことが必要です。
そのためには、
④マニュアルにより仕事の仕組みを見直し
⑤リスクマネジメントを行うことで業務の見直し、仕事の仕組み見直し
⑥クリティカルパスにより合理的な治療や看護を行う体制を確保し
結果として無駄をなくし、余計な仕事をなくし
⑦個人の技術技能を高めるために教育を行い実効性を高める
ということが行われる必要があるのです。
⑧勿論、増患のためには地域連携が必要となります。
したがって、
勿論、財務的経理的な観点からの戦略立案や具体的な行動への落とし込みが必要ですが、そのなかで、
①指標管理委員会
②マニュアル委員会
③リスクマネジメント委員会
④クリティカルパス委員会
⑤教育委員会
⑥地域連携委員会
が必要となります。
本来であれば、目標管理制度を導入し、これらが全職員の共通の課題になるよう、組織的に活動することができるように仕掛けていく必要があります。
4.まとめ
上記の簡単なながれが理解できないと、今回の改革が理解できません。今回の改革を行うことにより医療の質は必然的に向上し、病院全体のブランディングを行うことができ、患者はあつまり、決めたとおりの診療活動や施設での活動を行うことができます。
何を行うのかについての方向を理解することが大切です。具体的な活動については、
こうした目的や方向が明確であれば、自ずと明瞭になるものです。ただ、それらについて必要に応じて資料を提供しますので、各活動のどこに問題があるのか、何が必要であるのかについて提示していただければ、相応の対応をすることになります。
いやいや当たり前なんですが、この奥には深いものあります。実際に実行してみるとこの1万倍の資料になります。本当に「言うは易し、行うは難し(かたし)」ですね。