よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

オケのような医療チーム

 いやいや話忘れたことがありました。オーケストラが演奏する音楽を聴きながら、あまりにも整った楽団のチームワークを医療に重ね合わせていました。指揮者は理事長、コンサートマスターは院長、各パートのリーダーは診療部長や師長だったりするわけです。

 素人目には間違いは少し(ホルンやトランペットがちょっと遅れ気味、はずし気味でしたが…)しかなく、ほとんど完璧である演奏。楽譜通りでありながら、指揮者やその日の思いでアレンジされる。機敏に変化があり、迎えたソリストによっても音楽を変化させることができる。基本に忠実でありながら、臨機応変に対応できる。

 スキルの高い、セレクションを乗り越えた人たちによりつくりあげられるチームの一人ひとりをじっとみていました。
彼らは小さいときから訓練を繰り返してきたのだろう…。この人はまだこんなに若いのに、茶バツだし、でも指の運びは他のコントラバスの人と全く変わらない、なんでこんなに6人のコントラバスが合うのかな…。

 この人は(失礼ながら)演奏家にはみえないなぁ、でなぜ、このコンサートマスターは、すてきな笑顔をつくれるんだろう。指揮者や隣の第一バイオリンの奏者と目を合わせる、ソリストとうなずく、そのたびに、なんていい笑顔になるのかな…、個性が豊かで、でも仕事には的確に対応できる。そんな常に努力し、力をつけているスタッフが集まっている病院。たぶん術場の感じが一番的確なのかもしれない、とか思っていました。

 いいな~、こんなにまとまり、質の高い仕事をして、最後に聴衆から(患者さん、家族から)これだけ感動や感謝をもらえる医師やスタッフがいる病院って、と考えていました。いまコンサルティングをさせていただいている一つ一つの病院が走馬灯のように頭をよぎりました。

 きっとどこにでもある病院だけれども、こんな病院がたくさんあるんだろう。
 多くの病院がそうした病院になれるといい。きっと地域住民はこのコンサートのように拍手はしないかもしれないけれど、その病院を信頼し、信用することができるに違いない。そして安心して、心から安心して、生活することができるだろう。

 病院のなかにいろいろある問題や課題も、こんなチームがあればきっと解決できる。そんなチームができるために、少しでもできることはないか…。はやく会場を出て、来週の病院で使う会議の資料をつくりらなければ、そんな気持ちが心をよぎりました。