よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

鹿児島での講演会

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 鹿児島で、総合メディカル主催のこれからの病院と診療所の経営の方向といった講演会をしました。
30人弱の参加者でした。
 そのなかの一部をご紹介します。
 まず、一番目のPPTの資料には、こう書かれています。それ以降、いくつかのページをご紹介しましょう。

大変な時代になった
(1)医師の偏在は修正できない
(2)DPC→DRGの流れが加速する
(3)マネジメントができなければ残れない
(4)管理会計が導入できなければ残れない
(5)医師と看護師の定着は職場内問題
(6)増患できなければ残れない
(7)財政の悪化は医療費への影響大

誰も助けてくれない
(1)キャッシュフローを稼げない医療機関は淘汰される←銀行も国も助けてくれない
(2)マネジメントがきちっとしていない医療機関はやっていけない→最後は医師や看護師、スタッフは   結局は他人毎(プロセスでの一体化)
(3)業者は信用不安になれば手のひらを反す
  →誰も納入してくれない(信用があるうちに徹底したコストダウン)

スタッフの質向上
(1)役割認識、リーダーシップ力強化
 ①リーダーシップ研修
 ②360°評価
 ③人間関係への介入
(2)技術技能向上
 ①職務基準
 ②マニュアル
 ③教育システム整備

具体的プログラム
(1)職員アンケート及び幹部合宿
(2)SWOT分析
(3)戦略決定
(4)事業計画立案(病床再編計画を含む)
(5)管理会計導入
(6)目標管理制度導入(一部BSC)
(7)ブリーフィングシステム導入
(8)インセンティブ制度導入
(9)業務改革の推進
(10)教育システムの確立

高専賃の活用
(1)門前高専賃
 ①DPC病院における「一入院一治療」サポート
 ②包括、包括外患者の受入れ
 ③急性期病院との連携を強化した医療依存度の高い患者受け入れ
(2)地域高専賃
 ①比較的医療依存度の高い患者の受入れ
 ②独居生活が不安な地域住民の受入れ

推進母体の活動
(1)全職員に対する社会環境及び改革の必要性についての説明
(2)経営改革委員会の組成
(3)業務改善課題の抽出及び各テーマ毎のPJ(プロジェクト)組成
(4)PJへのスケジュール及び具体的手法提示
   ①人事管理②医療ツール③モニタリング
(5)毎月の進捗管理

上記の説明のなかには、
ビジョンの提示や説明、コミュニケーションとともに中間管理職を育成するプログラムを導入。人が人にどう接するのかについての具体的な考え方や方法を徹底して教えていく必要がある。

なお、権限規程すらない病院では、誰が何をしていくのか、どこまでやればよいのかがわからず混乱する。さらに職務基準がなければ自分が何をどこまで習得しながら成長していけばよいのかの階段を示すことができず、これも勤務を長続きさせない理由。上記を実施して、上司と部下、同僚、そして組織全体の活度が高く、風通しのよい病院がつくられなければ組織のスキルをあげることもできない。

であるとか、
もっと簡単にいえば、人がどれだけやりがいをもち、使命感とプライドを持って仕事ができるのか、それを阻害する要因にはどのようなものがあるのかについて、幹部はよく調査分析し、また自院のSWOT分析を実行し課題を山積みにしたうえでPDCAサイクルを廻して成果をあげていく。

そうした活動全体がマネジメントである。積極的にマネジメントができる人材育成を行う必要がある。

といった説明をさせていただきました。
医療機関は自院のポジションを明確にして、誰のせいでもない、自分たちを振り返る戦いをするための体制を整備して、これからさらに厳しくなる環境変化に対応していかなければならない、ということが結論です。講演会あと、たくさんのご質問を受け、皆さんが積極的に改革を進めていこうという意識が透けてみえました。

身の引き締まる思いでわれわれも徹底的なサポートをしていく必要があると再認識した講演会でした。