よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

他科受診の禁止(2)

3.具体的方法
 上記を原則的な他科受診を禁止して、コストを低減するための方法としていきます。
上記について作業を行うプロセスで最も重要なものは、職員や現場に対して説明し、成果をあげるために具体的に実行してもらう部分です。

 ①データが判りやすい
 ②とりわけ金額での資料がケース毎に提示され実感がわく
 ③なぜそうなったのかの原因をDrと話し合う
 ④これからどのようにしていけばよいのかについて組織的な協力がある
といったことが大切です。とくに組織的な協力の話ですが、
  
 (1)他科受診禁止の告知をする
 通常は、他科受診がなぜいけないのかについての文章をチラシにして入院予定患者に配付することや、外来の壁に貼ることが行われています。

 (2)業務フローを確立する
 ①患者さんに対して誰が
 ②どの時点で
 ③どのように説明するのか
について決定しておくことやそのながれを一覧表にする必要があります。
 一般に他科受診は、チラシやポスターを貼り、その内容を患者さんに伝えるとともに、上記をどのように行うのかについてルールを決定していくことになります。

(3)院内で説明会を開催する
 他科受診だけではなく、コスト面からのDPCについてのいくつかの課題を説明するためのレクチャーを行い、質疑応答を受けます。質疑応答を行うことにより、それらをQ&Aとして整理して勉強会をする病院が多いようです。

 患者さんからの質問も、同様に別途Q&A集を作成して外来で配付するなどの作業を行います。

4まとめ
 他科受診を患者さんが希望する場合と医療的にどうしても実施しなければならないケースがあります。前者は精査して医師が判断して必要な医療行為はこれをやめることはできないとともに、後者については当然のこととして医療行為を行う必要があります。

 前者については予定入院であれば入院前に治療ができなかったのか、また後者であっても医療側でのケアに問題がなかったのかといったことが問われます。

 分析と原因、そして対策を立てるといったながれを常に忘れず、他科受診が発生しないようにしていく必要があります。

 院外、すなわち当院に診療科目がない診療科について、患者さんの家族が薬をとりにいっても他科受診であり、当院に請求が行われるところ、実際に当該病院と契約を行う必要性から、他科受診を行うときには必ず連絡をして欲しいという旨の告知をチラシにしていくことや、それを事前にこちら側から入院前のアナムネ(外来で実施)のときに聞いてしまうということで、事前の説明や納得をしてもらうという方法を採用することになります。
   
 結論的にはDPCで入院している患者さんに対する請求を最適化するとともに、コストをできるだけ発生させないという仕組みをつくりあげるためには、上記のようにかなり綿密な対応をしなければならないということを理解してください。
 


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