よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

野外劇「星の城、明日に輝け」

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 9日は函館で市民の手による野外劇の観賞をしました。
 
 19時45分から75分。五稜郭を舞台に歴史スペクタル75分、と銘打たれた野外劇は20年続いている日本唯一の市民の野外劇だそうで、劇団四季に指導を受けた舞台はさすがという感じで感動しました。

 何よりも市民が数百人参加していて、メインの踊りは、セミプロの人たちがでていたものの、あとはどうみても素人の人が、その日に来て練習30分して舞台にたつ…、みたいなかたちで運営をしているわりにうまく統率がとれていてびっくりしました。

 それも、コロポックルという妖精が歴史を語るかたちになっており、後から聞くと、彼らが黒子になっていて、プロデューサーの指示を無線で受け、素人の役者さん達に的確に指示を出したり、台詞をいう人の頭が真っ白になった場合には、コロポックルが小さな声で覚えている台詞を教える。

 そして決まった秒数が経過したときには、役者ではなくコロポックルが自分で台詞をいってしまう、というルールらしく、よくできているなと思ったりしました。

 で、彼らの健気さに感動はしたものの、やはり一番感動したのは、劇中にでてくる函館の歴史をつくった偉人達です。それは、函館を貿易の街にした立役者であった高田屋嘉兵衛だったり、函館戦争で明治政府軍と闘った旧幕府軍の榎本武揚であったり、ともに闘った土方歳三だったりの日本をつくろうという生きざまには心を打たれるものがありました。

 五稜郭を設計した蘭学者の武田斐三郎も長崎から箱館(はこだて)に派遣され、フランスの技術をもって城を完成させたという偉業を成し遂げました。小さな話ではありますが、日本人初の洋船をつくった船大工頭取の続豊治や医函館戦争で明治政府軍、旧政府軍ともに救った日本赤十字の草分けである高松凌雲もすばらしい医者であったと教えてくれました。

 一人ひとりの偉人が未開拓のこの地で、苦労しながら、あるいは死を賭して成し遂げたことのすごさに胸を打たれ涙がでてとまりませんでした。

 我々が存在するのは、志をもって日本を創ってきた多くの人々があったからです。もっといえば、名もない人たちも含め本当にたくさんの人たちが文化や歴史をつくりあげてきた結果なのです。

 何もかも満たされ、ないものはない時代になったいまの日本で、ビジネスマンにも官僚にも、政治家にも本当に日本を変えていこうと考え懸命に頑張っている人はいるはずです。
 
 また、国民一人一人が歴史を辿り、温故知新のなかで自分を見出すことができるために、この野外劇があるとそのとき、強く思いました。

 大火や第二次世界大戦を経て函館の街は大きく発展します。新幹線の乗り入れや国際的観光都市として、そして水産海洋都市としてさらに輝きを増す函館(ペリーは函館に来航し、ハコダディといったと舞台では説明していました…)と結ばれフィナーレを迎えます。雰囲気をつくりあげる演出家の腕は、さすがだと思いました。

 確かに役者一人ひとりは遠く離れた舞台のなかで顔すら確認できず、また、言葉もどこかぎこちないところや間違えているところもあり、しかし、私が普段心をうたれるミュージカルにも勝るとも劣らない、いや本当にそれいじょうに心からの感動をくれた舞台でした。

 CDも買ってしまいましたが、「星のまちHakodate」という唄が数百人の合唱で歌われます。

どこまでも道なき道をただ一人、歩いてきた 立ち止り ふと見上げれば 迷い雲 風にちぎれて 
どこに行くのか おしえてよ 来たの大地に輝く星よ

旅人よ あきらめないで 夢を信じて 美しい未来をつくるため さあ 声たからかに
おお函館 おお函館 明日に輝け 星のまち函館

(作詞/作曲 新井満)

 ひさびさに胸を打ちました。この唄は心に沁みます。自分はいったい何をしているのか…。
独り、未来をつくるため、たった独りであっても、くじけることなく闘っているのか…。どこかで力を抜いてしまっているのではないかと猛烈に頭のなかで自問自答が続きました。

 唄を歌う子供たちの透き通った五稜郭中に響く声が、耳から離れません(っていうか今またCDを聞いてしまいました…)。
 
 函館でこの野外劇があり、これを続けて運営している市民に敬意を表します。今年は新しい演出をふんだんに取り入れたという話も聞きましたが、野外劇も常に進化しているのだとわかります。舞台が終わったあと、千人以上の観客を見送る役者さん達の表情は達成感と満足感で満ち溢れていて、躍動していました。多くの人々がこんな気持ちになれる場があれば、もっともっと日本はよくなると思います。

 みんながみんななりに、自らのために懸命に努力し、誇れる日本をつくることを、一人ひとりが意識していく必要があると強く感じた場面でした。

 この舞台を見に来るようにサジェストしてくれた、T事務部長。ありがとうございました。「来年は石井さんも出たほうがいい」とすすめていただきました(絶対でたいです…ハコダディ市民ではないけれど…。事務部長からは引越せばいいじゃん系のお勧めもありました…)。

 舞台中、高田屋嘉兵衛がまちを視察している前を、事務部長、副看護部長、看護部長、スタッフの乗った屋形船が通りすぎていきました(よく見えなかったけど…)。

 で、終わったあとお会いしたら、こんな感じです…。花魁とお大尽(遊里で多くの金を使って豪遊する客)という設定だそ~です…(-_-;)
すてきぃ……。