よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

非現実性のなかの現実

 母が亡くなりました。8月25日です。あっという間の離別でした。父が早くなくなり、まだまだ若い兄が逝き、その1年後、兄の誕生日に母が旅立ちました。母は明るく強く、常に前向きでくじけない人でした。彼女の弱音をあまり聞いたことがありません。私は、画家であった父の笑顔や繊細さのかけらを記憶の一部に残しながら、横目で母の背中をみつつ、生きてきた気がします。残念なのは、母との時間を見誤ったことです。

 まだまだ先のことだと認識していました。母の実績に自らを鼓舞し、懸命に生きることを隠れ蓑に、他のいくつかのことに手を抜いていたという悔いがあります。もっとできることがあったのではないかととても後悔しています。

 強くはない自分の意思を鼓舞しつづけてこれたのも母のおかげではありますが、それを理由にして母との時間、母を気遣う時間を十分にもつことができなかったことで禍根を残しました。一生かけても償えません。申し訳ない。
 
 その日急いで東京に戻りましたが、あと1時間、間に合わなかったこともあり、笑顔の遺影に手を合わせても現実を受け入られていない自分がいます。自らの過ちを認めることが苦しいのかも知れません。

 亡くなる数日前、私が帰る時間を知らせると悲しそうにしていた母を思い出します。その時を彼女は判っていたのかもしれません。

 最後まで「私は猪年だから手を抜かない、実証を示す」と言って、懸命に燃焼し続けようとしていた母のように生きようと思います。いま、私は徹底的に闘い続けることを決意しています。戦後の混乱を経て、いくつもの困難を乗り越え、自分ができることを最大にやりきった母の遺志のすべてを引き継ぐことはできません。

 しかし、私も私らしく残された時間を、最後の最後まで心ある人々と活動し続け、使命を果たしていきます。
 
 母の葬儀にあたり、お気遣いいただいたすべての皆さま、本当にありがとうございました。