よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

自然の摂理はマネジメントの原点

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 予定があり、生まれて初めて長野から名古屋に列車で移動することになりました。

 長野県庁で福祉関係のミーティングをしたのち、社福の理事であるOさんとの打ち合わせを行い、遅い昼食もそこそこに列車に飛び乗ることができました。ほんとんど乗客のいない「しなの号」はあるときには、ゆっくりと、そしてあるときにはおどろく早さで疾走し、山の間を軽やかに通り抜けていきます。

 人影のない、通りすぎてしまう駅の近くにくると集落があり、人の息遣いが伝わります。
また、工場や倉庫が線路に貼りつくようにつくられていて、駐車場の車の数で、そこにある活気を感じることができます。

 私は開いた本のページを括るのを忘れ、しばし車窓に目を凝らし、いままで知らなかった風景のながれに目を奪われていました。

 朝早くOさんと待ち合わせし、高速道路を使って長野に入るまで、助手席で仕事の話をしながら過ごしたため、ゆっくり景色を愛(め)でられなかったのです。

 木曽辺りの山々の緑の色は濃く、しかし遠くになるにしたがって段々と色が薄くなる風合いは、自分がいかに小さく、国土がどれほど広いのかを私に知らしめます。

 また、すそ野をひろげ泰然自若とした存在感のあるながれていく山に目を移すと、その形状が、しっかりと根付いた木々によりつくりだされていることが分かります。

 よくよく眺めてみると、山のかたちをつくりだしている木々は、それぞれ異なる属性をもっています。それぞれの木々には他と異なる特徴があることに気づきます。

 同じ種類の木が群れていたとしても、それぞれには枝付きや高さ、そして枝の張り出し具合に差があります。山のかたちをつくりだす木々は一括りでは語れないのだということが分かります。

 私たちは、医療や介護が一人ひとりの医療従事者や介護スタッフにより行われていることを十分理解し、そのうえで、組織のなかの人をどのように活かしていくのかを常に考えています。私たちは毎日、クライアントにいるわけでもなく、一人ひとりの仔細な真実を把握することはできません。

 しかし、所属する組織や上司は、彼らのことをよく認識する位置にいます。同じ目的を志向する仲間として、あるいは同じ使命を果たす盟友として、一人ひとりをよく理解し、個々の課題を把握し、それを解決するために協働することが可能です。

 実際にはそれができていないことが多い。そのための思考やシステムが整備されていないのだと思います。

 組織の目標が職場に降り、職場の目標が職員により達成されるためには、一人ひとりに明確な役割が付与され、それぞれができるかぎりの努力をもって与えられた役割を果たしていけるよう支援する。職場全体が一つとなり、仲間を鼓舞しあるべき場所に到達できるよう叱咤激励し続けることが必要です。

 あっと言う間に通りすぎる短い人生で、悔いのない満足した時間を過ごすために、一人ひとりが誠意をもち正直に自分を語り他を知り学び、自らの方向を修正しつつ到達点に向かう。

 組織がそうした人々により構成されることができれば、組織は個人の総和を超えた力をもつ。誰もが分かっているけれども実行できていません。

 仕事を評価するための指標管理や自らの力量を測定するための職務基準、そしてプロトコールや他のツールを整備しつつ、あるときはリーダーシップをもち、そしてあるときには思いやりをもって自分が一人ひとりに光をあてた組織行動を率先して行うと決意することが大切です。

 私たちホワイトボックス社は、外部からその達成に向けた支援を行う。方向を示し道具を提供し現場を鼓舞する。絶対に変われるという確信をもって勇気づける。
私たちの限界を知りつつ、組織自体が課題を乗り越えてられるよう行動できれば、私たちは役割を果せます。

 ながれゆく風景のなかに、一生かかって成し遂げていかなければならない目標がみえた時間でした。