よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療の原点とは何か

 いろいろな病院に毎日おじゃましていると、いろいろなことに気が付きます。
 また、昔から病院フェチだった私が患者としていろいろな病院に行くようになってからも同様に患者目線でものを見ることができます。なまじ病院で行われている業務フローを知っているために、患者目線でみるとすばらしい病院もたくさん目に付きます。

 患者さんを中心として明らかに新しいシステムや仕組みを導入し、早期に患者さんを診察する合理的で質の高いフローをもっている病院もあるし、旧態以前として懸命に人海戦術で頑張っている病院もあります。

 待ち人数も常に明確であり、座っているところにきてバイタルをとり問診を行う病院も病院もあれば、患者さんが混んでくるとまるでスーパーのレジのように、病棟から先生が降りてきて診察室を一つオープンし、知らない間に診察が始まる病院もあります。

 採血も流れ作業が本当にうまくできている、しかし一人ひとり、一つ一つの採血そのものの行為においてもリスクマネジメントがしっかり行われている病院も、大丈夫かなと思う病院もあります。
  
 会計もさまざまで、日本でも有数の外来患者がありながら、待ち時間10分とか15分と掲示しながら本当にあっという間に会計が完了する病院もあれば、会計のところで何十分も待たされげんなりする病院もあります。
 
 受付のベストプラクティスはこれ、診療科別の受付はこれ、中待合室の是非や診察室までのプロセス、撮影、検査での最良のやり方はこれというものがあるとしても、これらをすべて満点を取っている病院はあるかどうか、またそれがどこであるかはわかりません。

 しかし、どの病院も、懸命に改革をしようと思えばその病院の特徴を出しつつ、制約を乗り越えて、その病院としてできる限界まで成果をあげることはできると思います。

 医療の原点は、よい医療をしたい、多くの患者さんを護りたいという一人ひとりのプロフェッションとしての医療人の思いにあると思います。それが組織全体に拡散したとき、改善・工夫や協力が行われ、患者さんにとってよい環境を提供することができてくるといつも考えています。

 私の周りには、ここまで真剣に働くかと思う、尊敬してもしたりない素晴らしい医師や看護師も、コメディカルも事務スタッフも多数いらっしゃいます。
 こうした人達にお会いしていると、必ずやその病院では多くの患者さんが、良い環境で医療を受けることができているのだと確信できることが何回もあります。
 私たちホワイトボックスのできることはとても限られていますが、そのなかで、このようなスタッフの端においていただき、少しでも成果をあげることができたらと願っています。