よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

計画性という特性

イメージ 1

計画性をもって、何かをすることの大切さは誰もが知っています。しかし、その精度や実行についての程度は、計画性とは別の次元であり、同一に語れません。

計画倒れ、見かけ倒し(少し意味は異なりますが…)等といった言葉があるように計画性ががあるといって、すべてがよしと言うわけにはいきません。

そもそも、計画の精度や計画が正しいということについての検証をしっかりと行う考え方が浸透していないことも、問題です。それらについてこれから説明していくことにしようと思います。
 
さて、何かを実行するためには、到達点を決定します。つまり、何をしたいのかということです。これが鮮明になっているほど、計画を立てやすくなります。ただ、それでは不十分で、現状の分析がしっかりできていなければなりません。現状分析のない到達点決定は、絵に描いた餅であり、荒唐無稽なものになる可能性があります。すなわち、現状を分析し、乖離が解決できる乖離であるのかどうかについての確認が必要です。計画は現状から到達点までのプロセスに対して提示されるものであって、目標をそのまま、計画にしても具体的、かつ必要十分な計画になっているかどうかが不明です。
 
ということで、到達点があり、そのうえで現状分析(同時並行に行われることが一般です)があり、そこから乖離が明確になります。この乖離を前述したように、どのように解決していくのかが重要であり、そのための解決策が検討される必要があります。計画を立案するためには、解決策が仔細に検討され、その解決策がこれ以上求められないということから、優先順位をつけて実行計画を立案するという流れになります。
 
計画性があるということは、そこまでをすべて含んだうえでの対応であるということになります。
計画性がある人だといったときの特性は、この領域があることで成り立つのであり、未来を描くことに長けているといったことや、戦略立案がうまい、ヴィジョナリーであるといったことではなく、現状分析力があるということも追加されなけれならないと考えます。
 
ただ、もっとも難しいのは解決策です。どのように乖離を埋めるのかというところが創造的であり、工夫や知識経験が必要とされるところでもあります。これをどうしたら解決できるかについて考えられる力も必要となります。
例えば、稼働率を5%アップ、そのための外来患者入院比率を20%アップ、といった対策を立てれば数値的に、目標の稼働率に到達するといった場合、それをどのように達成していくのかについては、後者であれば、慢性期患者の逆紹介、紹介率アップ、新患率の向上、健診の強化、内科診療の充実の活動、イベントによる認知力の増加等々の対応が必要であるといったことが、具体的なプロトコールを伴ってリアリティのあるかたちでできあがっていなければなりません。
 
少し事例が簡単すぎたかもしれませんが、その対応の検討と具体的な手順の整備までができなければ、解決策とはいえないということになります。

そして、計画は、それらの解決策を実行するためのものをいいます。いわゆる5W2Hで計画を立てる。項目毎に逆紹介は、○○さんが、○月までに、○時間をかけて(どのくらいのコストをかけて)、○○に対して、○○を使って、○○を実行する。普通「なぜ」は当たり前なので使わないとして、上記のような計画が立案され、実行されることになります。

整理すれぱ、
明確かつ精度の高い到達点の設定、仔細な現状分析、解決策の創造、それらの計画化が、計画立案のプロセスであり、どれが欠けても計画は正しく立案されません。

計画性があるというのは、上記すべてをうまくやることを背景にしていることが、確認できました。