よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

意思決定のためのフロー

 

f:id:itomoji2002:20210130230015j:plain


何かを決めるためには、現状分析→情報収集→仮説立案→情報収集→仮説検証→情報収集→仮説立案…というサイクルを繰り返しながら確信がもてたところで意思決定をすることが必要です。
 
 この方法をコンスタントインターチェンジングメソッド=CIM(絶え間なくやり取りをしながら決定する方法)と名付けました。ボトムアップでもない、ミドルアップでもない、また、単なるトップダウンでもありません。
 
情報収集を行い、幾つかの自分の考えを整理し、またその考えが正しいかどうかを情報収集により検証し、さらにまた自分が考える。そしてまたその考えが間違っていないか、情報収集により確認し、徐々に自分の思いの確度を上げたうえで最終的に意思を決める、というながれをつくりだす方法です。
 
CIMを行なう結果、情報の提供元はトップやリーダーとのやり取りを行うプロセスで何を決めようとしているのかを推測できるようになり、意思決定の後の行動がスムーズに進む効果を得られます。
  
多くの経営者や幹部を見ていると、これらを行わず自分の直感でいきなり何かを決めてスタートする人がいます。勿論、自分なりの考えや分析を行い、何かを決めるのですが、十分な検討をしていない部分に不足があり、後に修正を必要とすることの確率が高い人達です。
 
そもそも意思決定には代替案がつきものです。意思決定の定義は「特定の目標を達成するために、複数の代替案から最適なものを選ぶこと」だからです。
 
なので意思決定は、A案だけでなくて、B案、そしてC案と代替案を用意し、それぞれの課題を十分に検討した上で最適な案を選択することが前提になるのです。
 
代替案を幾つかに絞り込むというのは、決めようとする何かを十分に検討することを意味しています。いきなり、これだ、というのではなく、この場合はこれ、こんな時にはこの方法、もしこうだったらこれ、のようにリスクや幾つかの可能性を考えるのは、対象を様々な角度から観ている結果です。
 
意思決定には、情報を得たうえでの熟考が必要です。日頃から一つのことを多角度的に検討する癖をつける。訓練する事なしにこうしたことは行えません。CIMの必要な理由です。
 
もちろん、これらのアプローチにむやみに時間をかければよい、というのではありません。情報収集を含む熟考と時間は比例しません。着眼をもち情報を集め、短時間で代替案の本質を掴むのもリーダーの質の一部です。日頃から適切な情報をくれる優れた内外スタッフやネットワークを用意し、コミュニケーションを行うための環境整備や、自らの人格形成、他者からの支持を得られる自分づくりへの鍛錬を忘れず、マネジメントを行なわなければなりません。
 
小さな意思決定から大きな意思決定まで、手のかけ方は異なりますが、トップや各組織のリーダーは適切かつ迅速な意思決定を行う為にそれぞれの領域で常にCIMや代替案の設定を意識して行動しなければならないのです。
 
自分も出来ていないので、先ずは自分からですが、多くの組織が適切な判断を行い、高い成果を享受し時代を乗り越えていくことを期待しています。