よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

進化するマニュアル管理(4)リスクマネジメントへの成果

インシデントレポートやアクシデントレポートを作成させるときの常套句。「とにかく出してください。人の評価には利用しません」

したがって、事故を起こす人は何回も起こす傾向があります。ダイレクトな教育につなげることができない、ダイレクトな評価につなげることができないからです。そもそも誰がどのような事故を起こしたのかといったデータベースがないのですから、もともと無理なことであると考えます。

しかし、マニュアルをベースとして、事故の対策や状況をマニュアルに記載すること、そしてそれを必ず教育に利用すること。マニュアルの習熟度を評価につなげることによって、結果として、個人の評価教育を行うとともに、リスクを抑止するとができます。

よく、対策が周知徹底できない、という話をお聞きしますが、それは周知徹底するための道具をもっていないからです。意識改革だけで、あるいは掛け声だけで問題解決はできません。

マニュアルを中心軸においてリスクマネジメントを行っていくことが、本当の意味での事故抑止につながります…、ということは当たり前のように思えるかもしれません。しかし、一つ一つのパートにおいて徹底されない、あるいはロジカルではないということが障碍となって、必ず周知徹底、自己予防を阻害する事項が生まれてきていることも確かであると考えます。

根本的な仕組みをつくりあげていくことが必要です。水を漏らさないといった精緻な仕組みではなくとも、ある程度は、体系があり、その実行が義務づけられ、あるいは文化に昇華するまで徹底され、継続して実施されるまで、トップは指導の手綱を緩めてはなりません。

一人ひとりに光を当てた職場内教育制度を導入するとともに、こうした体系を構築し、そのうえでリスクマネジメントを本格的なかたちで展開することが必要です。

マニュアルの高度利用を行うことが必要です。

〔ドクタートレジャーボックス同時掲載記事〕