患者さんがドアを開けようとして、なかなかドアを開けられないとき、あなたはどうしますか?
内側にいる看護師さんは、「飛んでいってドアを開ける」というマニュアルをつくっています。
飛んでいってと言う行為は松葉杖をついたり、車椅子の患者さんからは判りません。
しかし、ドアを開けて患者さんがみるものは、こころからドアを開けようとした看護師さんの表情や息遣い、そして次に看護師さんが機敏に行動して対応する姿です。
飛んでいってというマニュアルをかく看護師さんの感受性は、ドアを開けるという行為だけではなく、看護師さんのすべての行動をコントロールするのです。看護師さんにこのような思いがあるかぎり、看護師さんは細心の注意をはかり、患者さんに不利益が及ばないように振る舞います。
医療事故は目的を失念した行動や行為から発生するという仮説があります。思い込みや注意力不足といったことも、そうした本質的な部分から生まれると考える意見です。常に患者さんの立場にたって物事を考え行動する看護師さんやコメディカルの行動に無駄をみつけることは困難ですし、間違いを発生させる蓋然性をみつけることは難しい。
医療の質の高さは医療事故を発生させる要因を排除するという思いを私はもっています。