職務分掌は各部署毎の業務(≒仕事)の担当を示す規程であり、権限規程はそれぞれの業務の権限をきてする規程です。
職務分掌により各部署の役割が明確になるとともに、権限規程によりそれらへの権限と責任が明らかになります。
そして職務基準は、職種や職能等級制度における資格ごとに、各業務を課業レベルに分解し、どの資格者がどのレベルまで当該課業を実行できなければならないと決める基準です。以下説明します。
(1)職務分掌
職務の分担が明確でないと、その仕事は自分のものではないというケースが出てきて仕事ができなくなる事態になります。職務分掌が網羅的かつ明確であれば、Aという仕事はA部署の、BはB部署の仕事であると決まり、それぞれの部署が連携しながらある業務ができるようになります。但し、緊急時にAという仕事が発生したときに、A部署のメンバーがいないとある業務は停滞します。
いつでも何かあったときに対応できるように、専門性が低く簡易ではあるけれどある部署が担当することに決まっている業務であったとしても、どの部署でもできるようにしておく必要もあります。なお、ある部署のなかで担当が決まっているときにおいても、他の担当者の仕事はしないということのないよう、コミュニケーションを取りながら業務を円滑に廻せるようにしておくことも大切です。
(2)権限規程
権限は、起案、審査、承認、(実施)、報告の4つで行使されます。起案はこれをしたらどうでしょうという提案をすること、審査はそれが業務に必要であるのか、予算内であるのか等をチェックすること、承認は実行していいという決裁を行うこと、そして報告は、決裁の結果実行されたことが当初の決裁通りであったことの報告を受ける権限をいいます。
これらがルール化されていないと、責任が明らかになりません。権限は実行責任を伴うということができます。
(3)職務基準
課業とは一人ひとりに与えられた仕事の単位をいいます。業務はいくつかの課業に分かれます。例えば発注業務であれば、発注すべきものの確認、発注承認、発注ソフトの立ち上げ及び発注入力、発注後チェックといった仕事に区分されます。場合によれば相見積もりの入手、検討、値引き交渉といった仕事も追加されることもあります。この課業はどの資格の人であればできなければならないという基準を示します。例えば「値引き交渉」2等級の職員が一人でできなければならない、と定められたりします。
これらを活用することで、Aという仕事はX部署のどの資格者が(予算の範囲で)どのように仕事を進めていけばよいのかが明らかになります。
これら3つの規程や基準が、業務を適切に行うために不可欠です。仕事の在り方を表現する大事な諸規定なので、しっかり作成しておくと仕組みが明確になり仕事がし易くなると思います。