ホワイトボックス社で開発した物事を成し遂げるためのフレームワークにASCS(アスクス)があります。
PDCAサイクルを回す前のPをどのように設定するのかを明らかにしています。いきなりPではなく、何をPにするのかにより、成果が大きく変わります。
例えばコスト削減というPを立て、活動を開始したけれど、Dのところでさまざまな行動が生まれ、あれもこれもとなり、Cの段階でターゲットや方法論に漏れがあり、Aが複雑になり、なかなか目標とするコスト削減が進まない、という事がよくあります。
上記はシンプルな事例なのでイメージしやすいですが、他に計画の具体的な落とし込みに工夫やクリエイティビリティが必要なことが多くあります。
Pの段階で目指す目標と現状の間にどれだけのギャップがあるのか、ターゲットや方法を見極めなければ、何をすればよいのか当初網羅できないのです。
PDCAを回そうという掛け声はいいのですが、具体的なブレイクダウンのプロセスがPDCAからは見えてきません。
あくまでもPDCAは決めたことの成果を挙げるためのフレームワークにしか過ぎないからです。
そこで登場するのがASCS(アスクス)です。
到達点(Attainment)を決め、現状分析(Staite)、到達点と現状の差額の確認(Confirmation)、解決策(Solution)の決定を行い、その計画をPDCAサイクルに乗せる方法をとることで、Pの精度が増し、実効性を担保することを目指しています。
実務的には解決策の善し悪しが、物事を成し遂げられるかどうかの分かれ目になることが分かっています。
先程の例でいえばコスト削減をどのくらい行うのか、どこをターゲットにするのかを決め、現状分析を行い、できていないことを明らかにする、さらにできていないことをどのような切り口で達成していくのかの方向を明確にしてくれる考え方です。
コスト削減は、まずコスト絶対額の削減と単位当たりコストの削減の2つに分解します。
前者には(ランダムに挙げれば)内製化、使用量の削減、スペックの変更、価格引下げ要請、集中大量購入による単価減等の方法があり、後者には仕事の仕組みの見直し、個人技術技能向上による生産性向上が該当します。
もうお分かりだと思いますが、コスト削減というPではなく、コスト削減の個々の要素に分解し、その具体的なPを設定していかなければ、目的を達成することができづらいと、言っています。
例えば「仕事の仕組みの見直し」であれば、業務フローチャート作成、リスクの推定、部署間コンフクリクトの発見、マニュアル 作成・運用、そして改善策(廃止、代替、簡素化、標準化、機械化、システム化等)の検討、予算化、期日設定、実行者の決定等に落とし込まれ、一つひとつが計画化されます。
現状を明確にしたうえで、到達点までの実行の詳細プログラムを立て、それをPとしなければならないのです(少しはしょったので雑な説明になりました)。
なお、ASCSそしてPDCAを効果的に運用するためには、
- 大きな需要
- 担当者の資質
- 担当者のコミットメント(約束)力の強さ
- 適切な支援者の探索・配置
- 関係者達成意欲の持続
- 各人の時間の捻出
- リーダーの執着
- 行動の精緻化
の8要件が必要なことが分ってきました。いくらフレームワークがあっても、結果はそれを使う職員の意欲やスキルに依存します。8要件をいつでも充足できるようマネジメントが行われなければなりません。
これらからも地道に研究を続け、実務で使い易くしていくとともに、良い事例をたくさんつくっていきます。
進捗について、機会を見てご報告します。
さて、ASCSは個人でも使えるフレームワークであるとの評価も受けています。
個人が行動する時も組織と同様に達成すべきことを分析し、最適解を見出した上で計画化、行動すると成果が挙がりやすくなります。
これについても、ケースをためてご紹介したいと考えています。