私たち人間は一人ひとりをみると、とても小さな存在です。
しかし人間の力は無限です。
多くの人々が努力し変革を促し、文明をつくり文化を発達させてきました。また、科学技術を進化させ、生活を改善してきたのです。
その結果として国により差はあるものの物は豊かにあり、そして宇宙にまで足を伸ばすことに成功しています。さまざまな分野で、つながりのない誰かが何かを便利にしたいと考え発見や発明を行い、そのプロセスに呼応し、また結果を受けて、次の新しい何かが生まれる形で変革が行われてきた結果です。
例えば馬から馬車、馬車から蒸気自動車、エンジン自動車、大量生産、EV車、水素エンジン車、自動運転のフェーズを経て自動車が進化してきました。
あまりにも膨大な事実を網羅はできませんが思いつくままに列挙すると、背景には、躯体では製鉄工場や素材加工技術。エネルギーでは石油発掘、ガソリンの精製技術、シェルガス発掘、蓄電池。運転機能では、IT、衛星通信技術、AI等の開発があります。
人工の動力で進む人類初の乗り物として蒸気自動車が発明されたのが1769年。250年経過していますが、言うまでもなく、あらゆる分野での研究開発が集積した結果、自動運転が可能になったことが分ります。
他のすべての製品も同様です。日々の人間の小さな積み重ねが大きな成果を生み続けてきたことの証左なのです。
クレイトン・クリステンセンの著書「イノベーションへの解」には、イノベーションには持続的イノベーションと破壊的イノベーションがあり、後者が新市場を開拓してきたと説明します。
破壊的イノベーションが、従来品よりも廉価で使い勝手の良い製品を提供し、破壊的な製品が新しい市場で受け入れられます。
徐々に技術は向上して、あらゆる顧客のニーズを満たし始めると破壊者は既存企業を滅ぼしつつ成長します。この破壊的イノベ―ションが競争を促し持続的に経済発展が促されてきたのです。
持続的イノベーションにより従来製品がブラッシュアップされ、破壊的イノベーションにより新市場が開拓されるという双方の連続により今がつくられてきたことを、つくづく感じることができます。
人間は自らが小さいこと、一人で何かを行うことに限界があるのを知っています。
だからこそ確固たる自己を確立し、組織を組成して仲間と協力し、また外部と連携しながら行動を起こしてきました。組織目的は何なのかを問い、協力して皆で大きな成果を挙げたのです。
これからも人は無限の可能性を十分に理解したうえで自立し、努力を続けるとともに、一人だけではなく多くの仲間や取引先と何かをつく出すことで、大きな力を発揮し続けていくのですね。
何にしても一人ひとりの自立がなければ組織は成り立ちませんし、自立できない者が集まるだけの組織では何もできないのです。ここで自立と協働こそが、小さな人間が大きくなれる唯一の方法だと理解できます。
先ずは確固たる自己の確立のために自ら進む方向を決め、組織のなかでの役割を担い、これからも内外の英知とともに、小さくてもよい、何かを生み出していけるよう精進したいと考えています。