よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

目標管理のいくつかのポイント

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組織における目標管理制度の運用がとても大切なものとなってきています。目標は定量的であるのは当然ですが他人いくつかの運用上の留意点があります。

 

まず、目標管理制度は、BSCの形式をとったとしても方針管理に近いものが導入される必要があります(方針管理は「経営方針に基づき、中・長期経営計画や短期経営方針を定め、それらを効率的に達成するために、組織全体の協力の下に行われる活動(日本科学技術連盟)」と定義されています)。

 

あくまでも組織の方針を各部署がどのように達成するのか、ということが基礎となるからです。組織の決めた方針目標を組織としてどう達成していくのかという統制活動の一部として捉えることが大切です。当たり前のようですが多くの組織が上手く管理できていません。

 

組織の出した経営方針に対して各部署が目標を適切に分担し、どのようにそれを達成しいくのかを徹底して議論し、各部署協力のもと、それらを完全に達成していくなかに、組織の事業計画が計画通り進捗し、組織(トップマネジメント)の立案した戦略や政策が実現されると考えなければなりません。

 

したがってこの部分が脆弱であり、例えば組織戦略とのすり合わせが不十分、各部署が各々課題を独自で目標化するなどの方法を採用しているのであれば目標管理は形骸化します。また、ただ単に各部署に目標を与え「達成してみろ」といった目線での対応では各部署から受容されず成果も挙がりません。

 

トップマネジメントは組織内外の環境分析により構造的な視点から戦略立案するとともに、各部署の課題解決をも行える目標を設定するし、各部署へのサポートを行い各部署がそれぞれの目標を達成し、機能を最大限果せるよう支援しなければなりません。

 

形式ではなく、実質的に成果をどうあげていくのかという基本を外すことなく、制度設計がなされなければならないのです。
 
次の重要な視点として個人への目標の落とし込みがあります。このことも多くの組織で未着手です。

 

部署目標は当該部署に帰属するすべての構成員により達成されるべきものです。したがって誰一人として、組織目標に無頓着であってはなりません。ここにすなわち個々の目標を適切に個人に落とし込む仕組みを前提とした目標管理でなければなりません。

 

一人ひとりが役割を果たし達成感を得て、自らの課題解決とともに目標達成の一翼を担うといったシステムでなければ「頑張る誰か」だけが頑張り、たとえ部署目標が達成されたとしても、構成員一人ひとりの成長につながらないという帰結を生むことになります。それでは目標管理のサステナビリティは担保されません。

 

事業は人であり、程度の差こそあれ、すべてのスタッフ全員が、目標達成をテーマとして今日よりも明日、明日よりも明後日というように成長していくことで組織は進化するし、質を高めて価値創造し社会貢献することができます。

 

部署目標、組織目標が誰か一部の者に依存して達成されるのではなく、組織構成員全員により達成されたという実感をすべてのスタッフが持つときに、その組織は一体となれるし、継続的に目標達成を行うことができる真に力のある組織に変貌するのです。

 

一人ひとりのスタッフに光を当てることのない組織マネジメントシステムは、本来あるべきシステムではないという認識を幹部や中間管理職がもつ必要があります。個人の特性や、やりたいことをベースに割り振られた個人目標が達成されるよう、上司は常に目を配り、支援していかなければならないのです。コミットメント(約束)による役割設定です。

 

常にビジョンに基づく戦略ストーリーを以て、目標管理のあり方を、原点に戻り見直ししてみる時期が来ていると考えています。

 

繰り返しになりますが、目標管理が実効性をあげるためには、目標は戦略的で構造変革を促しつつ表層的な日々の課題をも解決する、すべての個人に受容され落とし込まれたものでなければなりません。

 

トップマネジメントは

  1. 何を変えるのか、
  2. どう変えるのか、
  3. そのために組織活動をどう変えるのか、
  4. 社会にどう貢献するのか

について最適解を得られるよう熟考し戦略立案するとともに、適切な目標管理を行う必要があります。ニューノーマルの時代、より強いリーダーシップが問われる時代に入ったという認識があります。