よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療を護り、国民が健康で豊な生活を送るために

 
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結局日本の医療は変われず、過去と同じ状況が続いています。東アジアやASEANで行われている医療にも各国の事情により多くの課題がありますが、日本の仕組みが微動だにしないことに危機感を感じます。
 
超高齢化が進みGDPが伸びず、経済成長が望めない日本において、今後、社会保障費の抑制は行政の願いとしても、現実的に国民の負担をこれ以上極端に増やすわけにもいかず(とはいっても毎年の負担は増えており)、八方ふさがりの様相を呈しています。
 
国民の行動を変えるだけでは、働き手も足りない、老朽化した病院の建替え資金もないといった課題を解決することはできません。人口が減少するなかで経済を回し医療を護る抜本的な制度改革も望まれます。withコロナの新しい時代を迎えた今、再度2014年の記事を読み直し、これからの日本の医療を考える一助にしたいと思います。
 
「クアラルンプールでも、マニラ(写真はマニラ、マカティのセントルーカス病院)でも、ジャカルタでもファンドと病院管理会社が共同で経営をしている病院を数多く見ました。
 
保険もプライベートのものや政府の職員向けのものがあったり、社会保険制度があったりと多様ななかでの医療が行われています。
 
マニラで見たように、24時間体制で普通にいつでも病院が開いているという運営や、プライベート病院では医師が病院の正職員ではなく、デパートなように場所を借り医師が診療をしていることも驚きではありますが、バンコクや香港でも同じようなことがあったので、これが当たり前なのだと理解しています。
 
病院が医師を直接雇用する日本と同じシステムは北京や上海、香港、ホーチミンやハノイ、さらに他国の公的病院に見られました。

ただ、これらの国々では徐々にプライベート病院が増加し、良い医師を集め、スタッフを教育し、きめの細かい医療を行うにいたり、彼らが国民から高い評価を得てきていることは間違いありません。
 
日本は財政問題から国民皆保険制度をいまの形では維持できなくなるとして、海外のような多様性をもった医療システムへの転換を図るのだろうと考えています。
 
日本にも株式会社の病院は幾つかありますが、国交省が意図するヘルスケアリートの仕組みも徐々に出来上がり、病院をサポートする時期もくるでしょうし、同時期に本格的な病院管理会社や私募ファンドが運営する病院数が増加していくことも予想されています。
 
誤解している人が多くいると思いますが、海外では、プライベート病院を多数展開する営利企業の医療の質が低いという一元的な認識はありません。
 
海外のプライベート病院で受診した経験のある人であれば、逆にプライベート病院のクオリティの高さに目を見張ることでしょう。
 
それらは、競争原理のなかで質の向上にしのぎを削っており、とどまるところを知らない多くの著名企業があります。営利と非営利の違いは、配当をするかしないかの違いで、非営利は利益を出しては行けない、ということではありません。
 
それどころか、患者の評価の証である利益が出なければ、日本の民間病院は経営を継続できないし、公的病院ですら税収が減れば資金が枯渇することは明らかです。
 
勿論、私は高い診療報酬をテーマにしているのではありません。問題は低所得者や弱者の救済や保護の仕組みです。日本のように一部間違った支援を行うのではなく、海外では、そうした国民に対し様々な支援の方法を以て対応しています。
 
香港でも優秀な医師が、篤志家により資金を提供されている公的病院で、一般市民や弱者に献身的に高い質の医療を行っていますし、マニラでも、質の高い公的病院が、貧しい国民に比較的優良な医療を提供しています。
 
私が見たどの国でも、それなりの支援の仕組みがしっかりと構築され、日本のように「ちぐはぐしたこと」にはなっていません。
 
ここにすなわち、非営利や営利といった病院形態や建前や本音、自由診療や混合診療が問題ではなく、全ての国民がもつ様々な価値観や望む形で医療を受診できる仕組みがあるかどうかが問題になるのだと、アジアの医療システムを見て考えます。
 
各国はそれぞれ様々な問題を抱えていることは事実ですが、日本においては国民皆保険制度を護るためにも、多様な価値を受け入れ、新しい時代の医療構造を造り上げていく必要があると考えています。
 
公的病院の、民間の経営方式を取り入れるための様々な取り組みも、実は前述した流れの一部であると私は解釈しています。
 
理事長の資格、配当問題、海外の医療機関支援の為の投資活動、持ち株会社などは、医療制度のあり方を模索するからこその改定であり、次の時代の医療を護るための布石です。
 
医療や人の生き方は、センシティブな問題であり、この場で全ての課題を明らかにすることは出来ません。しかし、海外で働く多くの医師が口を揃えて言うように、日本人(我々国民全員)は井の中の蛙にならず、これからの新しい日本を俯瞰して、最も望ましい医療介護のあり方、そして死生感や生き方について、良心を以て真剣に考える時が来ていると私は思います。」