よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC時代をどうクリヤーするか(4)

DPCの採用には、病院原価計算の導入が必須です。DPCを導入するということは、パスの見直しを行うこと、必然的に業務改革を行うことで、平均在院日数を入院期間Ⅰに合わせるとともに、利益を出すことができるよう、病院原価計算を導入する必要があるからです。

 従来出来高DPCか、といったシミュレーションによる議論や、調整係数がどうだとか、いう話が盛んですが、ナンセンスです。DPC下で原価がいくらなのかという議論をしなければなりません。

 例えば粗利を20%とるための原価構成はどうであるのか、直接材料費なのか、直接労務費なのか、直接経費なのか、治療間接費なのか、発生した原価差額を改善するために、どのような業務改革をしなければならないのかといったことについての議論が必要です。
 そのために、部門別損益計算や患者別疾病別原価計算が必要であるという理解をしなければならないのです。
 
 多くの病院で病院原価計算の導入ばやりですが、実は病院原価計算を行うことが目的ではなく、そこから何を抽出し何を改善するのかがポイントになっています。

 であるのであれば、さらに病院全体のコストリダクション(原価低減)や管理会計全体のシステム構築が必要であり、これら体系的なアプローチがないとき、原価計算だけを行ってもうまく成果をあげることができません。

 勿論戦略が不明確であったり、医療を支えていくための道具(マニュアル、クリティカルパス、リスクマネジメント、教育、地域連携、接遇)といったものの整備が業務改革上とても必要であり、病院原価計算だけを実施すればそれでよいわけではありません。

 DPCの採用後、病院原価計算を導入する。そこから後がとても大切であるということを理解しなければなりません。

「ドクタートレジャーボックス掲載記事」