北海道の大病院で部門別損益計算の仕組みが当社によって導入されました。
95部門近くにもなりました(間接部門=医事、経理、用度…、補助部門=コメディカル、直接部門=病棟、外来)。計算シートをつなげると3メーター以上になります。
これによって、部門毎の損益計算をするとともに、予算管理のなかで必要な利益を確保できているのかどうか(利益を生まない部門はコストが予算内かということですが)を検証することになります。
勿論そこでは、患者さん一人当たりの利益のみならず、一人当たりのコストを明らかにすることができます。重要なことは患者さん一人当たりについて治療間接費はいくらかかっているのかをチェックすることです。
これは後のDPC原価として患者別疾病別原価計算のための行為別原価計算における間接費の計算に利用する数値として役立たせることはどこかで説明しました。
結局のところ、部門別損益計算を行なった次は行為別原価計算を行なうことになるのです。行為についてはパスを利用することが一般的ですが、パスがなければ費目別に直接材料費、直接労務費(タイムスタディー)、治療間接費といった項目をつくり、レセプトやタイムシートをつくり対応することになります。
原価計算をすることは、確かに利益がでているかどうかをチェックすることですが、それはとりもなおさず、その患者さんに対する治療が合理的かどうかを見ることでもあります。
患者さん個別にどれだけの時間をかけているのか、どのような治療をしているのかを他のケースと比較することによって、無駄や不足していることを発見し、付加価値をどのようにつくりだしていくのかについて検討する材料にしていくのです。
看護師さんの仕事の内容が看護師さんでなければできない仕事であるかどうかや、看護師さんがやる必要がある仕事かどうかをチェックする意味で、職務分掌を考えるうえでも、原価を分析することが必要ですね。
DPC(包括点数=いくら治療しても一定金額以上は売上げがあがらない)がでてきてから、患者さん別の原価計算が脚光を浴びていますが、現場では数字に自分の仕事を置き換える(とりわけ時間の使い方)ことによって客観的に行動を見直すという効用もあります。
患者さんから呼ばれる、頻度が高い、コストは高い、それよりも他の患者さんのための時間が制限される
どこまでだったら許容されるのか、であれば、先に訪問し、患者さんが望む、あるいは必要なことを済ませ、時間の節約をするといったことができればよいと考えます。
支援をしなければならない患者さんには、先に巡回、訪問し段取りのイニシアティブを看護師さんがとることが基本ですよね。先先に時間を使うことができるようになります。
原価計算は原価の計算のために利用するのではなく、そこから何を得て、仕事に活かしていくのかがポイントなんですね。