よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

療養型病院のこれから(1)

 先日療養型病院についてのセミナーを実施しました。以下、その骨子を説明します。

(1)介護型病床の廃止は後戻りしない
(2)医療型病床もいずれは介護対象に移行
(3)在宅誘導の方向も変更されない
(4)一般に区分変更し回復期にいくためのシミュレーション
(5)在宅(疑似在宅をも含む)にどう関わるのか
 についての決定必要
(6)保有する医師、看護師、介護事業等の経営資源を最大活用
(7)連携強化
が必要です。

そもそも急性期病院の医療環境は、次のもの
(1)DPC適用しなければ残れない
  ①かなり厳しい条件
  ②7:1についても急性期要件強化
  ③DPCは下がり続けると発言
  ④DPCからDRGになれば出来高×
  ⑤平均在院日数短縮及び伴う増患は地域
   浸透(地域完結型医療は入り口)なしには進められない

それらを踏まえて療養型病院についての議論をする必要があります。
(2)医療区分入れ替えも困難
  ①民間事業者が介護度が高い、医療依存度が高い患者をとるよう活動
   ⇒寝たきり、利益高いため(とりわけ診療所で介護事業を実施しているとことがその傾向)
  ②困っている急性期病院の支援をベースに活動するしかない
  ③一般病床へ転換しても看護師確保が困難。看護基準15:1は廃止になる可能性大。
  ④一般病床に戻しても慢性期疾患を主とするのであれば経営は難しい
  ⑤回復期リハに転換しても整形外科・脳神経外科の急性期患者数が少ない、手術件数が少ない、急性   期病院との地域連携が難しいのであれば採算はとれない
  ⑥北海道厚生連のように100床未満の一般病床はすべて療養病床にシフト後、診療所+施設に転換   を打出しているところは戦略的
(3)かかりつけ医、未病対応がベース。
  ①在宅療養については様子見が多い
  ②結局24時間はできないという意見が多数
  ③介護施設とのコラボにしても、複合的にマネジメントする主体が必要
   ⇒ここに療養型病院のノウハウが必要となる
  ④一般病床や回復期への転換による経営は意外と困難

結局このなかで成果をあげられるのは、地域連携強化しかない。地域地盤をつくることにより、施設転換する。さらに地域に出て行く。
 急性期病院を軸とした地域の抱え込みのなかで地域浸透を図り、イニシアティブをとることが解決策。自分の箱だけで勝負しては負ける。すべての医療機関は「待つ医療から出向く医療への転換」を図らなければならない。その前提として財務体質を強化したうえで、療養型や介護といっても医療や介護の質を徹底して向上させるためのシステムづくりを行うことが必要となる。「質の高いものしか買ってもらえない」時代になった。

ということになります(続く)。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」