よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

本来の接遇(1)

 本日、訪問した病院でのことです。

 少し院内のスロープが少し坂になっているところがあります。その廊下につながるスロープで遠目に、車椅子を使っているお年寄りの方が上がろうとして難儀していたのが判りました。事務部長と食事に行って帰ってくるときでした。
 
 あそこまでいったら車椅子を押そう、と思ったちょうどそのとき、看護師さんが何も言わず、そっと、しかし車椅子がことのほか重いらしく身体を少しよじりながら、ちからを込めて車椅子が平らなところにいくまで、ほんの数秒ではありますが、押してあがりました。

 何も会話はなく、でも、看護師さんはニコッとしてお年寄りに頭を下げて車椅子を通りこして歩いていきました。言葉ではなく、気持が伝わる態度でした。何気なく、しかししっかりとお年寄りを気遣い、派手にせず、何げなく、押したのです。
 だいじょうぶですか、よっこらしょ、ではないのです。お年寄りが廻りに気遣いをしないようにそっと、しかし懸命に看護師さんは車椅子を押しました。さりげなくも患者さんを思う、というよりも、彼女の日々の何気ない行動すべてがこうした行動となっているに違いないと感じる動作でした。

 こんな小さなことに最近よく感動します。こんな看護師さんがたくさんいる病院は、大きな力をもった病院です。彼らをどうまとめていくのか、リーダーの力が試されるときです。