よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リーダーの条件(5)

(7)コミュニケーション力
 人と話をすることをおっくうがってはいけません。きちっと前を向いて、目をみて話ができるのか、説明ができるのか、相手の話を聞くことができるのか、理解できるのか、共感できるのか、といったことに留意しなければなりません。結果として分かり合えることができなければなりません。

 人の立場に立ち、考える。しかし、自分が達成しなければならない目標を達成する、目的を達成するためにどう調整すればよいのかというなかでコミュニケーションが生まれます。同じ目標を組織で共有することによってコミュニケーションがうまれます。皆が同じ考えや同じ意識、そしてお互いのことを理解して、いわなくてもお互いを補完(おぎなう)行動ができればコミュニケーションをとる必要はないからです。しかし、そうはいかないので、リーダーは調整をして、そうした状況をつくりあげていかなければならないということになります。
 そのための訓練を自分にどう課していくのかについて考えてみる必要があります。
 
 なお、コミュニケーションは組織がある目標を持ち、全スタッフが同じ方向に動いているとき、より活性化します。リーダーは常にそれらを受けた目標を設定し、その達成のために全体を誘導しなければなりませんが、そうした環境があればよりリーダーとチームとのコミュニケーションは活性化します。

(8)状況把握能力
 リーダーがリーダーとして行動するためには、常に現状を把握し、理解していなければなりません。状況をどのように把握していけばよいのかについて五感を研ぎ澄ましておく必要があります。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といったことについて留意することが必要です。五感を大事にして、常にこうした感覚をもちながら、仕事をしていくことができなければリーダーとして的確な対応ができません。五感をどう研ぎ澄ますことができればよいのかについて考えることが必要です。

(9)包容力
 暖かな対応をする必要があります。自分と他人は一体であるという認識ができなければなりません。二元論からの脱却、一元化ということが必要です。自分と他人は一体である。一体として考える、ということが必要です。一体として考えることによって自分のものとして考えることができます。そのことで内面から自分を見ることができるようになります。

 相手を包容することができるのか、相手を思いやることができるかどうかによって、リーダーになれるかどうかが決定します。慈しめるかどうか、慈しみの気持をもてるかどうかが包容力の源泉となります。何かあっても感情的になるのではなく、冷静になぜこういう結果となったのか、なぜそうなのか、それはどうすれば対応できるのか、ということを瞬時に考えられることがリーダーの条件です。包容力があればそれができます。感情的に対処することは間違いである。

 感情的になっても何も解決できないということについて理解しなければなりません。大声でどなることで意識がかわる、といった解決方法は稀にうまくいくことがありますが、いつもいつもそれで何かがかわるわけではありません。そうではなく、相手のためにも、本質的な問題に光をあて、どのようにすればよいのかの具体的な解決策を提示しながら対応することができなければなりません。

(10)責任感
すべて自分の責任であり、すべて自分のことである、という考えをもつことが必要です。すべて人の責任にする。すべて自分のせいではないということではなく、自分のことである自分の責任であるという考えをもつことが必要です。
また、達成目標については責任をもって達成する、という覚悟が必要です。決めたことができない。それはリーダーとして失格です。最後までリーダーとしてどう行動しどう成果をあげていくのかについて、率先して活動しなければなりません。

 以上、5回に分けて説明しました。10項目をひとつひとつチェックしなければなりません。
上記をよく理解して、一つひとつ自分として、不足しているものはないのか、という検証をしてみることが必要です。足りないことがあれば、それをどう修得するのかを考え、身に着けるための行動をとる必要があります。そして具体的に部下をどう指導していけばよいのか、どう対応すればよいのかを考えなければならないのです。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」