よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

やばい診療報酬債権の買い取り

 今日は少し、やばい話をします。

 私には仕事の関係で、金融関係の仕事をしている人がたくさんいます(私も信託銀行に勤務していましたし…)。銀行もそうだし、ノンバンク、ベンチャーキャピタル、そしてファンドをもって、SPCをつくり病院そのものの不動産を買い取り、リースバックする業者、さらに診療報酬債権を買い取る会社もそうです。

 銀行がひえひえで、病院に対して融資をすることができない状況もありました(いまもそうですが)。そこで新療報酬債権の譲渡により資金調達をしようと病院は動きます。

 診療報酬債権は、いわば国が債務者ですから、貸し倒れがないので、資金を融通する業者が多くいるのです。やましい仕事ではなく、大手の損保やノンバンク、そして銀行の子会社もこの事業領域に進出しています。

 やばい、といったのは、この手の債権譲渡等による借入は、いったん借りたら最後、前月を上回る収益、そしてキャッシュを得ることができなければ返済ができないうことです。

 したがって、これは最後の砦、あるいは一時的な資金繰りのために行い、借入をして返済することができる病院は、ぎりぎりOKです。しかし、それができない病院がこのスキームを利用するので、やばいということです。

 業績が落ちてくる過程では、その資金だけでは支払いができず、診療報酬債権+α(ローン、あるいは最近は立て替え金概念)の資金を調達するようになります。

 αの部分はさらに返せず、個人的に資金作りに奔走するものの、院長の自己破産で完了という事態を招くことが多くあるのです。

 で、さらにやばい話として、年末その私の知り合いの診療報酬債権の会社だけで年末30病院から依頼があり、そのうち15の病院への対応を行い、数億円がどっと動いた、という事実を聞きました。

 いくらでも貸す先があるということで、彼らは調達に奔走しています。

 話は変わって、昨日は島根で建設会社の社長とミーティングをしてました。その地域の個人病院はことごとくつぶれたという話がありました。1階を診療所、2階以上をコンバージョン(病室から住居に帰る)を行い、なんとか経営をしている医療法人や、まったく廃院してしまった個人病院がたくさんあるそうです。

 もうなにも言いませんが、日本の医療は過去を引きずるわけにはいかなくなりました。過去のやり方で経営をして、そして運転資金を高利で調達して病院経営がうまくいくはずがないのです。

 そうなってしまう前に、ぜひホワイトボックス社のノウハウやスタッフを活用していただければと考えています。

 まずは短期調査、事業計画立案、戦略立案、業務改革スケジュール作成、組織的活動開始、成果獲得といったながれをつくりあげなければなりません。

 DPCであろうがなかろうが、そして電子カルテやパックス、オーダリングを入れようがいれまいが、基本的な経営の在り方について、トップマネジメントが情報収集し、考え決定し、組織を動かすことができなければ、成果をあげることはできないのです。

 まずは業務改革に着手し、日常から、継続して成果をあげていくことができるよう体制整備をしていく必要があります。そのことでたとえ調達を行うとしても、銀行から安い金利で調達ができるし、資金にもそれほど窮することはないようになるのです。

 資金が調達できないときほど、辛いことはない、と再生した病院トップは説明します。そうならないよう改革を継続していくことが期待されます。