よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

キャッシュフローについて

8月初旬に認定看護師さんに財務のレクチャーを行いました。以下、キャッシュフローについての資料です。


 キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、お金の流れを意味し、主に、病院活動によって実際に得られた収入から外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。現金収支を原則として把握するため、将来的に入る予定の利益に関しては含まれない。

 「損益は意見であり、現金は事実である」という言葉がある。基本的には、利益がでていても、
 ①支払いが早い(できるだけ支払いは遅く=ただ、誰も物を売ってくれなくなる危険があります) 
 ②在庫が多い(できるだけ在庫はもたない=JIT=ジャストインタイムの実施)
 ③回収が遅い(未収入金は原則診療所では発生しません。保険診療分は別)といったことによりキャッシュは減少する。

 キャッシュ・フロー会計(cash flow accounting)とは、病院の経営成績を現金・預金の増減をもとに明らかにするという会計手法のことである。
 ①営業キャッシュフロー
  営業活動により、キャッシュをどれだけ獲得したのか

 ②投資キャッシュフロー
  投資活動により、どれだけキャッシュを使ったのか。営業活動以外での資産に関わる全ての資金 の  動きを示す。主に固定資産の取得や資金の貸付による資金の増減、他社への資本投資に関して記載す  る。

 ③財務キャッシュフロー
  財務活動により、どれだけキャッシュを確保したのか。主に借入金による調達や返済の増減や、自社  の株や債権に関する発行益・配当金支払・買戻・返済などを記載する。の3点からキャッシュフロー  を検討する。

 キャッシュフロー計算書により様々な情報を入手することができる。その内容を検討することにより、企業活動について、以下が理解できるようになる。
 ①資金の源泉がどこにあるのか

 ②事業でのキャッシュを生み出す力はどれだけあるのか

 ③投資活動は営業で稼いだキャッシュの範囲で行っているのか
   
 ④金融機関からの調達が過多になっていないか

 なお、海外ではキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が病院に義務付けられているし、日本でも、1999年度からは、上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

(参考)フリーキャッシュフローとは
 フリーキャッシュフローとは、企業が本来の事業活動によって生み出すキャッシュフローのことをいう。

 ここで「フリー」とは、企業が資金の提供者(金融機関や社債権者のような負債の提供者、及び株主である資本の提供者)に対して自由(フリー)に分配できるキャッシュという意味。企業はこのフリーキャッシュフローを原資として、債権者に金利を支払ったり、債務の償還を行い、あるいは株主に配当を支払ったり、株式の消却を行うことになる。

 看護部長は少なくとも病院経営について、きちっとした考え方をもたなければなりません。病院そのものがマネジメントに対する意欲をもっていないように思えることが多くあります。

 現場のマネジメントと現場を束ねるマネジメントがあってはじめて病院経営は成り立ちます。現場だけではなく病院のマネジメントにも力を注ぐ必要がある理由です。

 経営資源を最適化して、もっともよい組み合わせで成果をあげていかなければならないからです。右肩上がりから右肩下がりの時代には、とことん合理性をもった経営をしなければなりません。これは効率よくということではなく、質を上げるということです。

 「医療の質が高ければコストは低い」という趣旨のことをポーターが言っていますがその通りです。

 現場をとりまとめる病院マネジメントの質が高ければ、間違いなく現場の質も向上し、質が高く無駄のない、必要十分な医療が行われるという仮説です。たくさんの病院におじゃまして、それが事実であることを見る機会が多くあります。人間的にも尊敬できる医師、そして信頼し合う看護師、それを支える情熱に燃えたコメディカルや事務方の存在が医療の質を高めます。

 病院幹部には、病院マネジメントのロジックを学習することが求められています。キャッシュフローはそのなかのほんの小さな一部です。意識の高い看護師さんが率先して病院を誘導することになるのでしょう。期待しています。