よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

市場調査の手法

 

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 病院の市場調査はどのように行なえばよいのでしょうか。

 

 まず、市場調査の目的は、以下の2つです。

(1)院外の現状把握

 自院の内外における現状の認識をしなければなりません。

 何をするにしても現状を明確に整理しなければ次に進めないからです。

 院内の現状については、日常得られる情報や、アンケートや面談によるヒヤリング、データ分析、部署毎にテーマを決めて問題抽出をしてもらうことで足ります。

 

 しかし院外については市場調査を行う必要があります。

 

(2)戦略立案

 内外の現状の分析を完了したうえで、どのような「戦いに勝つための計画」を立案していくのかに関わる事項です。

 市場調査を行わなければ、適切な計画を立てることができません。

 

 市場調査項目は、例えば(ⅰ)昼及び夜に自院のターゲットとなる患者が、どの地域に、どれだけ存在するか(ⅱ)近隣にはどのような医療機関があるか(ⅲ)自院で患者を呼べる機能はどのようなものがあるか(ⅳ)自院の競合となる医師や医療機関はどのような動きをしているか、となります。

 

 市場調査は、

  (ⅰ)ネット情報(ⅱ)自院レセコン情報(ⅲ)訪問(ⅳ)アンケート(ⅴ)面談

  といった手法により行います。

 内閣府や専門情報チャネルにより、地域人口動態や疾病動向、競合の情報が得られます(ネット情報)。

 

 さらに自院のレセコンデータから、住所地、年齢、来院頻度等自院に来院している患者情報を把握できます(自院レセコン情報)(なお、DPCデータは開示されており、患者やオペデータ等の入手が容易です)。

 

 また競合病院への訪問を行い、駐車場の混み具合や、待合室の状況を定点観測したうえで、曜日、時間帯別、医師別診療科別の来院状況を把握することができます(訪問)。

 

 そして入院外来患者にアンケートを行い、当院の問題や日常的に通院している他の医療機関の情報を得ます(アンケート)。

 

 もちろん、他の病院の事務長に、公的な会において情報を得ることや、協力関係にある他病院事務長との間で、情報交換により有益な事実を知ることもできます(面談)。

 

 これらを行った結果、外部からみた自院、他院や地域情報を全体的に掌握し、課題や問題、そして自院の強みや弱み、機会や脅威を分析(SWOT分析)します。

 

 なお、マーケティングの4P(プレイス、プロダクト、プライス、プロモーション)やパープルカウを入れた5Pを念頭に置いた着眼、そしてトップマネジメントに直接入る情報も大切です。

 上記の情報を整理する段階で、それらをも加味してみることもよいでしょう。

 

 上記の手法は当たり前のことですが、個々には実行していても、体系的に行っていない病院が多いのではないでしょうか。

 

 自院でさらに必要な事項を追加したうえで、定期的に市場調査を実施し、目的を達成したいものです。