医療には医療機器が不可欠です。
医療機器を購入するかしないか、またどのような機器を購入するのか、病院は経営意思決定を行ないます。経営意思決定のためには、どのような手続きを経て購入し、どのように管理するのか考えます。
機器を購入したい、と現場から稟議が上がり、そこに機器を購入しなければならない理由が記載されています。
この検査ができれば、あるいはこの治療ができれば多くの患者に来院してもらえるので必要。利用頻度や仕様(スペック)、いかに生産性が高く、コストパフォーマンスが高いのか、費用を越える収益が得られるのか、収益の源泉となる患者数は何人、診療報酬はいくらであるから、この機器の購入は妥当、といった記述が必要です。
当該機器が汎用品であれば、医療機器問屋、メーカー3社以上の見積もりをとり、他に取扱いメーカーがなければ、他の同様のスペックの機器との比較表を見積もりとともに添付すること。
医療機器を取扱う委員会があれば、そこに資料が提示され議論されます。詳細な自院の過去治療データがあり、提案に使った予想患者数が荒唐無稽ではないことの証明や、診療報酬が引き下げられるリスクや、他病院に新たな医師が招聘され機器が導入されても競争に勝てるデータも必要です。
正味現在価値法や内部利益率法、投資回収機関法などの投資意思決定に関わる経済計算を行い、結果として、投資によりキャッシュがどれだけ増加するかや、投資回収期間〇年といったことを判断基準として投資が最終決定されます。
投資を行った以降には、思いのほかできていない病院が多いですが、購入した後の機器の管理をおこないます。
予定通りの患者数を取扱うことができているのか、稼働率をもって経時的比較を記録しますが、稼働率が達成されているにも関わらず予定の収益が得られない場合には原因が調査され、稼働率の根拠を変え目標値を上方修正することもあります。
予定を下回った場合には、パラメディカルが医局会に出席し、オーダーを増やしてもらうよう説明したり、医事課から、対象患者が来院しているエビデンスを提供してもらいオーダーが可能であることを提示するなどの活動を行います。
仮に対象患者が来院していないのなら、連携室やプロジェクトが対象患者増患のための行動をとるよう病院として、社会資源としての自院の活動の見直しをします。
こうした決定・運用プロセスが病院に定着していなければ、医療機器を購入してもうまく活用できずロスが生まれます。地域のためにも自院のためにも仕組みづくりが求められます。
なお、上記を検討するプロセスにおいて、購入せずリースやレンタルによる活用についての議論もされるし、自己資金で購入する、借入で購入する、割賦で購入する、購入しないという選択肢についても議論することもあり、留意が必要です。