業務改善とは、現状業務をより好ましい、望ましいものへ改めること及びそのための創意工夫の取組みをいいます。業務を見直し、現状の業務をよりうまく、より早く、より合理的に(安く)できる業務に変えていくことです。それは社員一人ひとりが本来は業務として行うものです。
改善の視点は、
- 標準化
- 簡素化
- 廃止
- 代替
- 集中化
- 移管
- 内製化・外注化
といったことにおきます。
自部署の組織のことだけを考えるのではなく、全体を俯瞰したうえで現状をよくしよう、成長しようという意識をもち、相手の立場も考慮したうえで小さくてもよいので改善を行うことが必要です。もっとうまく、もっと早く、もっと合理的に(安く)というキーワードをつかっているが、それはムリ、ムダ、ムラをとる、ということとほぼ同じ意味であり、仕事の質を上げ、コストを削減し、結果として収益を高め費用を削減します。
業務(仕事)を見直し、前述したように、仕事のやり方を標準化し、優先順位をつける、段取りをとる、仕事を整理する、無駄な業務を行わない、他の部署と協働する、業務を移管する、業務を平準化する、といったことで生産性を向上し、内製化する、購入しない、集中する、スペックを落としコスト削減を行うのです。
ところで、コスト削減にはコスト絶対額の削減と単位当たりコスト削減があります。前者は購入しない、集中する、スペックを落としコスト削減を行うといった従来の「コスト削減」といったときに使う定義が当てはまるものです。これは一度やると継続的に続くものもありますがサービスや物品を購入する一部のコストを削減するに留まり限界があります。
しかし、単位当たりコスト削減は、業務改善で仕事の仕組みや枠組み、方法を変えることや教育により個人の技術技能の向上を図ることで、例えば、8時間で10の仕事をする人が、20の仕事ができるようになることをいいます。同一資源により成果が2倍、すなわち生産性が2倍になった事例です。収益や費用という損益区分のなかで、費用に占める人件費を有効活用するとともに、生まれた余裕=付加価値時間により多くの収益獲得を可能とする活動です。
ここに、コスト絶対額削減は一定程度の我慢を強いるものでもありますが、単位当たりコスト削減は、構成員がやる気になり、改善活動において承認され評価されて、達成感を以て成長し、喚起をもって前に進むポジティブな環境をつくるコスト削減であり、組織だけではなく構成員にとってもとても有益です。
業務改善により目指すものは、業務の形をよりうまく、よりはやく、より合理的にすることであり、ムダ、ムリ、ムラをとるものではありますが、最終目的や役割は、教育システムの充実と並行して
- 仕事の質を高め、
- 構成員の意識変革を促し、
- 単位当たりコスト削減により生産性向上を図ること
にあると理解しなければなりません。
トップマネジメントは、何のために業務改善を行うの方向を出し、方法を教育し、啓蒙し、改善を促すとともに、評価し、フィードバックし、ベンチマークにより拡散し、組織全体に大きな成長の渦を作り出すことに尽力しなければなりません。
我々は、多くの組織で業務改善を導入し成果を実感していますが、業種業態に関わらず、業務改善の生み出す力のすごさを実感できる機会をもっていただけることを期待しています。