よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療機関生き残りの闘いがはじまる

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 先日25日に松山で、愛媛銀行と日立キャピタル、地域の会計事務所や社労士事務所の方々の共催で医療機関実務セミナーを開催しました。150名の方々が来場されました。本当に感謝しています。
 
 いま、日本の現状は以下のようになっています。
(1)年金問題や増税問題は益々日本を脆弱にする
(2)外来患者は減少し続けている
(3)とりわけ消費税は医療の命取り(5%→1.2~2%)
(4)最後に残るのは、医療・介護、農業・漁業、そして生活関連事業のみ
(6)ただ、質が高く合理的な医療・介護しか組織を残せない現実がある
(7)円安→金利上昇→物価高→企業倒産→所得減少→受療率低減
(8)現状を見て、未来を予測し、準備を怠らない

 結局は、社会保障に回す資金がなく、これから高齢者が35年まで増加し続けることを考え、医療費削減や制度改革が行われています。病院病床は削減され、急性期から慢性期、慢性期から介護期と患者は早期に移動せざるを得ません。

 病院は確かに従来しっかりとしたマネジメントを行ってこなかったところがあります。専門家が病院にはおらず、徒手空拳で現場の方々や外部から招へいされた方々が懸命に医療を行ってきました。巨大な病院は別として、多くの病院では試行錯誤をしながら、マネジメントをつくりあげてきたという傾向があります。しかし、そうした状況のなかで、客観的にみて正しい経営をしていないところが数多くあります。

 医療が人を軸として成り立っている以上、彼らをどのように動機づけるかということが多きなテーマであるし、どれだけ高いスキルを身に付けようとして日々努力しているかが病院幹部の留意すべき重要な事項であることは間違いがありません。しかし、システムではなく属人的な対応のなかで、なかなか継続して人材育成や活用ができない状態にある病院が大半であったのだと思います。

 これからは、
(1)どこにも青い鳥はいない。
(2)自院の医療資源を最大活用することでしか、成果をあげることはできない。
(3)環境変化と医療資源に注目したマネジメントにより、いままでの病院経営の枠組みを見直し、新し  いモデルをつくりあげていく必要がある。
(4)増患と単価アップ、コスト削減がキーワード
といった方向を出していくことが基本。

(1)どこを目指すのか明確にする(すべて要介護期重視)
(2)ストーリーをつくり、開示する
(3)増患、単価アップ、コスト削減のためにすべての戦術
  を集中する
(4)人と時間の管理(control=一定の方向に誘導する)  
  を徹底する
(5)評価制度、月次決算・部門別損益計算及び指標管理
  等、管理会計を強化する
(6)従来にない活動の創造(「こんなに頑張っている」とい  
  う価値観だけではダメ。質の高いものしか残れない)
ということを認識すべきであるという説明をしました。

 ここではセミナーの内容を随分活用しましたが、
 明確な戦略を提示し、ストーリー化するとともに、マネジメントシステムを構築し、一定のシステムによるガバナンスを確立したうえで、徹底して計画を達成するために日々活動する。結果はモニタリングシステムにより把握し、常に部門別損益や指標管理、余日分析を怠らない。業務改革を進め、一つ一つ各部署がもつ課題を徹底する必要があると説明しました。

 写真は日立キャピタルの西日本本部長、松山支店長、そして本社及び支店スタッフの皆さんです。セミナーが始まる前、昼食をホテルでいただきました。
 松山放送局制作の「坂の上の雲」というドラマがありました。
 セミナーが地域医療機関が自らとの闘いのための、舞台の幕開けを告げる号砲となればよいと、ふと思った昼下がりだったのでした。