よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

システムがないために現場が混乱する

 さまざまな病院に毎日おじゃましていると、部署間コンフリクトが数多く目立ちます。
部署間コンフリクトへの対応について以下、簡単にレクチャーした資料がありますので、提示します。

1.はじみに
 部署間コンフリクトの対応を行うことで、業務の生産性を向上させることが必要です。以下、部署間コンフリクト(衝突)(以下コンフリクト)の対応方法について提示します。

2.内容
 コンフリクトについては、個々の部署が現場で対応しようとして、対応できていないことや対応がとても困難であることが前提です。そうでなければ既にコンフリクトではなくなっているからです。
 コンフリクトの内容について、最近、それらがいくつかの類型に区分されることが判ってきました。
 ①とてもシンプルなことで、話し合いをすれば解決するが話し合いができていない
 ②話し合いをしても、なかなか解決策が生まれない
 ③解決策が生まれてもルール化できないため解決できない
 ④ルールが現場のルールというよりも病院全体の制度に起因するものであれり、制度改革が必要となる
  といったものがそれらです。

3.対応
   従来コンフリクトのある部署同士で話ができない、しても解決しないということに
ついて、調停者及び解決者の存在が必要です。それは直接的には事務部長であり、背景には各部署の長が存在するやり方がベストです。
 
すなわち、コンフリクトの所在が確認された部署双方、あるいは数部署を一同に呼び、彼らの話を聞いたうえで、整理を行い、どのように対応していけばよいのか、解決していけばよいのかについての
検討を行うことになります。

4.具体的方法
 上記について、毎週定期的にコンフリクト解決のための時間をとる必要があります。
 ①コンフリクトを整理して、優先順位を決定する
 ②優先順位に応じて、毎月のテーマを決定する
 ③一つひとつについて事前に課題を整理し議論する
 ④毎回必ず一定の方向を示し、次回にその進捗状況を把握して必要があれば、さらに対応のための指示を出す
    
5.まとめ
 部署間コンフリクトを解決することで、現場の生産性は飛躍的に改善します。該当部署だけで問題解決をしようとするのではなく、必ず今回のボード(部長クラスのミーテイング)で議論し、上記の方法で解決するというやり方を常に採るようにしていく必要があります。

 勿論、制度の改定に関わることについては、ボードで議論したのち、経営会議に上程し、そのうえで最終決定をしていくことが必要です。
 医局をも巻き込んで、全体を大きく変えていくルールづくりを行うとともに、それがうまく機能するためには、何をしていけばよいのかについての議論を行っていく必要があります。

 部署間コンフリクトを解決することは、業務のながれやシステム、そして個人の技術技能を向上させることそのものです。
 例えば、なぜ外来に看護師は電話をかけ、医師とのトラブルになるのか、その原因はシステムが脆弱だからということに他なりません。

 電話禁止のなかでもかけなければならない原因をつぶさないと常に生産性はあがらないし、付加価値への時間創出ができないのです。つまらないことが数多く発生し、生産性を落としている状況をすべて網羅的に拾い上げ原因を解決していけば病院の運営はもっと質の高いものになります。

 なお、当事者では解決できない問題が多く、こうして抽出された部署間コンフリクトは病院全体で解決するための仕組みをつくりあげることが求められています。

 とても大切な業務改革の切り口です。