法人の決算書には、貸借対照表と損益計算書があります。貸借対照表は、(決算)期末日現在における財政状態を表します。また損益計算書は一年間の経営成績を表わします。
ここで、財政状態とは、資産と負債、資本の状況をいいます。
資産=負債+資本であり、負債+資本は調達を、そして資産は運用を意味しています。他人から調達した資金が負債(他人資本)、自ら調達した資金が資本(自己資本)であり、それらをもって資産のかたちで運用し、事業を行うことを表しています。
財政状態をみることにより、法人の規模、資金の源泉、資産、負債、資本のバランス、法人運営の巧拙を知ることができます。
法人運営の巧拙がどうであるかは、安全性をみれば判断できます。安全性は、流動比率、固定比率、長期適合比率、自己資本比率などで測定します。
まず流動比率ですが、流動比率は、流動資産が流動負債を超える率をいいます。100%以上あることが必要です。
固定比率は自己資本に占める固定資産が100%以内であること、そして長期適合比率は固定資産が自己資本と長期借入金の合計額の100%以内であることを求めています。
さらに自己資本比率は、負債と資本を足した総資本に占める自己資本の割合を示すものであり、40%以上あれば、健全であるとされています。
なお、貸借対照表における資産は、収益獲得能力があるとされていて、翌年の収益を得るための材料であることが分かります。
現金預金はどれくらいのこっているのか、医業未収入金の金額はいくらか、また、棚卸資産はどうか、有形固定資産はどのていどか、さらに他にどのような資産があるのかなどを把握し、どのようにそれらを使って医療を提供していくのか検討します。
また、負債の内容を把握し、どのような返済をしていけばよいのかについて考えてみる必要もあります。
また、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)があります。ROAとは、自己資本と他人資産(借入金や社債など)を含めたすべての資本を、その会社でいかに効率的に運用できているかを表す指標です。ROEは、自己資本(エクイティ)が効率的に運用できているかを知ります。
少ない資本で多くの利益を得る事業なのかどうか、資本を効果的に活用できているかを知り自社政策の巧拙を分析します。
私たちは、損益計算書はもとより、上記、貸借対照表から得られる情報をもとに、法人の現状を理解し、どこに課題があるのかを発見することができます。
とても厳しい時代を迎えた今、財政状態から得た課題を解決することで、的確な経営を行っていかなければなりません。
なお、我々は人においても、自分の貸借対照表を考える事ができます。人の資産は時間であったり人間関係、能力であったりしますが、それらを最大限駆使して成果を挙げられるよう考える必要があります。時間を使い能力を高め、人間関係を構築することで何を成し遂げていくのか。
それらを定量化できれば、少し無理はありますが、自分の主観的な貸借対照表や損益計算書をつくることもできますね。自分の資産は何でどのくらいあるのか、負債はどうか。となるとネットの資本はどんな感じか。一年間の自分を経営した結果、どれだけの価値を生んだのか、など。
常に考え行動できる自分をつくることを念頭におき日々を過ごすことで計画的に達成感を得たり、行動分析を行い自分なりの課題を見つけ、解決行動を取ることもできると考えています。